学習塾ミチビキ

【スタッフのつぶやきvol.9】「問題のない子」誰にとっての「問題」?①

 

 

こんにちは。Michibikiスタッフの渡辺です。

 

この記事では、「一見、問題のない」ように見える子の「心の内側で起こっている困難」について考えていきたいと思います。

 

「ある子」について想像してみてください。

 

静かで、指示に従い、授業を妨害することもなく、他の子に迷惑をかけることもない。

 

暴力や暴言もないし、目立つ「問題」を起こさない・・・


こうした子は、手のかからない「良い子」でしょうか。

 

 

もしも、例えば先の例に挙げたような子が、

「伝え方がわからなくて」静かで

「気になることがあっても、どうすれば良いのかわからず」指示に従っていて

「授業についていけないから」授業中はいつもおとなしくて、

「他の子との関わり方がわからなくて」問題が起こらないのだとしたら、どうでしょうか?


大人の眼差しや学校という仕組みの中では、「差し迫った危険」を伴うこと、あるいは「他者への迷惑」を伴う言動、「他害行為」といった、目に見えてわかる「行動」が、子どもを評価する物差しとなったり、その子を気にかけたり、心配したり、あるいは「問題視」したりするきっかけになりやすいのではないでしょうか。


特に学校など、一人、あるいは、少人数の教員で大人数の生徒の安全を守り授業を行わなければならない教室の中では、生徒の命や安全を守る上で、それは必然的なことでもあります。


そこには、「教室の運営」、「教員の仕事」、「全体の安全」、「人手や大人の目などの人的資源」といった切実な問題が確かに存在します。 しかし、その問題は、「大人にとって」の問題であって、「生徒自身の問題」とはまた分けて考える必要のある事柄です。


学校での人材不足が社会課題となった昨今、教育現場のこうした「大人の問題」も、もちろん差し迫った問題であることは間違いありません。


しかし、先の例に挙げたような、大人にとって「困らない子」が教室にいたとして、その子自身にとって、その状況は、どういったものでしょうか。


あるいは、その子の未来では何が起こるでしょうか?


教育現場が抱える構造的な課題を前提に踏まえつつ、「問題のない子」の目に見えない困難と、見えない困難を抱える子への教育支援の大切さについて考えていきたいと思います。


「周囲への影響」か「子ども自身にとっての困り感」か


教育現場における支援の必要性は、特に、特別支援の現場では、「子どもの内的な困難」そのものや、それによる長期的な影響よりも、教室や集団内での、「外部から観測可能かつ、他者にとって影響ある行動」によって判断される傾向があります。


具体的には、特に以下のような場合です。


・他の生徒に手を出してしまう(他害)
・授業の進行を妨げる行動をとる
・集団のルールに従えない

 

こうした行動は、クラス運営において、教員が優先的に対処すべき「問題」として表れます。


「支援学級への振り分け」も、「他の子に迷惑をかけるかどうか」という観点から勧められるケースも少なくないようです。


データが示す近年の教育現場

 

文部科学省が発表した令和5年度の調査結果では、いじめ、不登登校の認知件数が過去最多を記録しました。


いじめの認知件数(小・中学校): 711,633件
暴力行為の発生件数(小・中学校): 103,626件
不登校の児童生徒数(小・中学校): 346,482人


教員の人手不足が問題視されるようになって久しい昨今、これらの「顕在化した問題」への対応に追われる中で、学校というシステムは、より差し迫って、対応の「緊急性」と「優先度」を判断をしていかざるを得ないでしょう。


その結果、静かに困っている子どもたちの優先順位は、構造的に低くなってしまうのです。


これは、限られたリソースの中で教育現場全体が直面している、必然的で現実的な限界であるとも言えます。

 

 

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