
この「心の理解」についてのテーマ記事では、
「こんな時、この子をどうしたら良いか」のその前に、
「こんな時、この子の中では何が起こっているのか」という、
人間理解の基本的な知識に基づいた内容を発信しています。
「こうすれば...」というハウツー知識はもちろん役に立ちます。
しかし、その方法がその子に合っているかどうかは、その子の中で何が起こっているかによって違うはず。
心についての基本的な知識を持っていることが、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。
前回までの記事▶︎
こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。
クリスマスおめでとうございます🎄
待ちに待ったプレゼントが届いた子たちもいるでしょうか🎅
皆さまいかがお過ごしでしょう。
この、行動に関する難しさについての「心の理由」のテーマ記事を年内にお届けするために、今回の記事は2記事連続してお届けいたします。⛄️
前回までの記事では、「何かをしたいのに、どうしてか『することができない』理由」について、まず「外側の要因が心に影響してかかる負荷」について見てきました。
「実行機能」がうまく連携しないその背景にある理由を、心と身体の外側の要因から、ストレス・身体・環境にわけて考えましたね。
「なぜかできない」の理由も様々です。
その時々に起こっていることに対して、適切な対処をしていくということは大切なことです。
それではここから、心のより「内側の要因が影響している負荷」について、分けてみていきましょう。
「何かをする」ということができる「心の状態」
私たちが日々様々なこと、「何かをする」ということには、「心の機能」が働く様々な条件が必要だということが、これまでの内容を通して少しずつ見えてきたかと思います。
ここから、「心の内側の状態」に焦点を当てていきます。
何かをすることができるには、土台となる健康な「心の状態」がなければ、日々こなしていこうとする大小の様々なことも難しく大変なものになっていきます。
「外側の要因」は比較的、目に見えやすく、かつ対処の仕方も、整理整頓をしてみたり、スケジュールを調整したりとある程度明確です。
しかし、見えない心の内側のことでは、より繊細な見立てや想像力、長期的な眼差しでのサポートが必要です。
心も体も発達途上にあるお子さんが、自分の心の中で起こっていること、そこにあるもの全てに自分で気がつき、それを言葉できるとは限りません。
だからこそ、大人が「心の働き」についての知識を持ち、可能性を予測し、「もしかしたら、こういう背景があって、今は難しいのかもしれない」と見立て、その子にとって役に立つサポートができるならば、それはどんなお子さんにとっても、様々な場面で助けになるのではないでしょうか。
何かがうまくいかない時、そんな、目に見えない「心の内側の状態」そこで起こっていることについて、これから6つの可能性に分けて見ていきましょう。
長くなるので、何回かに分けてお届けします。
長い内容になってきますが、「心の状態」について思いを及ばせることも、それほどに大切なことでもあります。
① 不安や恐怖、「愛着」の問題
前回の記事で、「ストレス」を外部の要因として扱いましたが、それはもちろん、心の内側の要因でもあります。
不安や恐怖といった心の負担は、「今この時」に原因となるものがなくても、過去の記憶から引き起こされることがあります。
また、「愛着」も、人が「何かをする」力の大切な土台です。
ここでの愛着は、「アタッチメント:attachment」すなわち特定の人との心の絆や信頼感、安心感の築きなどを指します。
愛着は心の育ち、好奇心、学び、人や社会との関わり、自分自身を受け止め、様々なことを乗り越えていくための、生涯にわたる大切な土台となります。
しっかりとした愛着の土台があることが、“課題”に直面した時の心の弾力、自分自身を守る力のようなものになります。
また、愛着は失敗や挫折から、「回復する力(レジリエンス)」とも深く関わると考えられています。
それでは、「不安や恐怖、愛着の問題」が背景にあると考えられるお子さんの様子と、そうした場合に「できること」について、ここから考えていきましょう。
例えば...
何かをしようとすると「怒られる」「注意される」気がして、不安になる
「うまくできるか」どうかが不安で物事に着手できない
「人と対する場面」を考えるだけで、緊張して頭が真っ白になる
相手の反応や人からの評価が怖くて、体が固まる
こういった様子がある場合は、心の内側に積み重なった負担が大きくなっている可能性があります。
そうした時に、無理に頑張るということを続けていると、心のリソースも有限なので、「頑張る」の限界を迎えてしまいます。
そんな時、次のようなことでサポートができるかもしれません。
「学習環境としての大人の対応」と、「心の準備」とに分けてそれぞれ見ていきましょう。
「心」の準備
まずは、「心の整理」をすることも、学習環境を整理するための土台になります。
走り出そうとするならば、準備運動や動きやすい服装が必要なように、心にも準備が必要です。
走り出せる心の準備として「まずできること」について考えていきましょう。
”気持ちに気が付く”こと——行動の前に、今ある感情を見つける
後にも残っているような「不安」や「恐怖」「緊張」などは、断片的な記憶として言語化されていない感情が凍った塊のように心の中に存在します。
そうした場合、感情を外側に表現できる「方法」や「言葉」があることがまず大切です。
「いま、一番嫌なこと」を1つだけ選んでもらう
身体の反応(胸が苦しい・お腹が重い)に気が付く
言葉にするのが難しい場合は、表情カードや色カードで選ぶ
書く方が楽な場合は、箇条書きなどのメモで気持ちを出していく
などの方法があります。
感情が整理されることで、実行機能を司る前頭前野のパフォーマンスも比較的改善され、タスクに向けての着手が軽くなる可能性があります。
“外側の規律”——予測可能な規律やリズム(ルーティン)があること
「予測できる」環境は、脳に「コントロール感」を与えます。
それは不安の軽減にもつながります。
これまで見てきた「不安や恐怖、緊張」は、私たち人間が生き延びるために、心と体にしっかりと記録されていきます。
「コントロールできない状況」「予測ができない状況」などもまた、「状況に対する自分の力」への信頼感を損ない「自分のすることには意味がない」という情報が記録されていきます。
これは心理学の世界で「学習性無力感」と呼ばれます。
以下のような方法で、「自分のすること」に「これから起こること」に安心できる環境を整えることは、特に不安が強い場合有効ですが、どんな人にとってもメリットがあると考えられます。
例えば、
朝の準備を毎日同じ順番で行う
学校から帰ってきたら、宿題をしたら、など、行動+行動をセットで固定する
「時間になったら始める」を身につける
ある行動は「この時間まで」と終わりを決める
学校・家庭で「同じ手順」を共有しておく
毎週の予定や約束があること
こうした、安定して予測できる環境の連続性があることは、お子さん自身の安心感や、自分自身の行動への効力感にも繋がっていきます。
筆者自身も、朝の日課、入浴や消灯など日々の習慣、毎週の行動などをある程度規則化するということを実践しています。そうすることで、「今後起こること」への安心感を心と体がキャッチしやすくなり、日々の行動をコントロールしやすくなったと感じます。
また、愛着の揺らぎが大きかったり、不安のあたいが高いほど、「毎日の決まったこと」などの自分の外側にある秩序が、自分の内側の安定」を補うことにも役立ちます。
学習や様々な活動に必要な心の準備として、もし皆さまにも工夫していることがあったら、ぜひコメントでお知らせください💡
次の記事では、特に学習を進める時や、日々の関わりの中で大人ができることに焦点を当てて考えていきましょう。
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無理して学校に行かせたくない。将来の選択肢をまもってあげたい。
どちらも、おなじくらい大事だと思うから。
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