
この「心の理解」についてのテーマ記事では、
「こんな時、この子をどうしたら良いか」のその前に、
「こんな時、この子の中では何が起こっているのか」という、
人間理解の基本的な知識に基づいた内容を発信しています。
「こうすれば...」というハウツー知識はもちろん役に立ちます。
しかし、その方法がその子に合っているかどうかは、その子の中で何が起こっているかによって違うはず。
心についての基本的な知識を持っていることが、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。
前回までの記事▶︎
こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。
年末内にこのテーマ記事をお届けするため、2記事連続での更新です❄️
前回までの記事では、学習を始めるために必要な環境の、その土台としての「心の準備」について考えましたね。
ここからは、特に学習を進める時や、日々の関わりの中で大人ができることに焦点を当てて考えていきましょう。
大人にできること
お子さんに促し、一緒に取り組むことで「心の準備」ができたら、大人が状況を設定することでできるサポートについても一つずつ考えてみましょう。
全部の道を、お子さんを抱えて大人が進むのではなく、歩きやすい道を見つけながら、歩きにくい道では手を繋いで渡っていくようなイメージかもしれません。
もしこの内容を読みながら、「こういう方法もありそう」ということがあれば、ぜひ皆さんもコメントでお寄せください。
失敗しづらい、“安全に始められる”ことから、小さな成功体験を積み重ねる
何かをすることのハードルを下げることで、「安全な気持ち」で取り組むことをサポートできます。
こうしたことを、「スモールステップ」と言ったりしますね。
「宿題をする」「作文を書く」など、ある一連の行為をまとめたラベルが、大きなハードルに感じられることがあります。
そうすると、頭の中で行動を調整・指示しする「実行機能」が働くより前に、心が疲れてしまいます。
不安や緊張が強いと、不安や緊張がなければ「感じないはず」の疲れを感じやすくなるということですね。
そうした場合に、
・ノートを開く
・今日の課題を確認する
・テキストを1行読む
・終わらせることではなく5分間取り組む
・最初の一問だけ解く
・下書きや箇条書きから始める。
など、スモールステップに「行動を始める前に目的を1つだけに絞る」ということも、行動のハードルを下げる有効な方法です。
これは、小さなことで「大丈夫」という安心感に心をスイッチするためのプロセスになります。
また、いろいろなことを一度にしようとすると、混乱しやすく、「できた」という達成感が得られにくいです。
自分が「何をするのか」をシンプルにすることは、心のハードルを下げる良い方法だと言えます。
「評価」よりも、「行動のプロセス」や「行動した」ことを重視して言葉にして伝える
また、「過程」や「取り組んだこと」そのものに対して「大人が言及する内容」が一貫しているということも大切なことです。
「この時は褒められた」「この時は褒められなかった」ということも、自信をなくし、緊張していて、周囲の反応に対して敏感になっているお子さんの場合では心に残る記憶になっていきます。
それが良いか悪いかという「価値判断」を抜きに、「その子が向き合ったこと」、「取り組んだという行動自体」を認めていくことが、その子自身の、自分の「行動」への安心感を強めていくことにも繋がります。
“安全の足場づくり”評価のない空間をつくること
「失敗しても大丈夫」という外側の環境(安全基地)があることは、成長過程にある全てのお子さんにとって重要なことです。
「失敗=危険な状況を招く」ということを覚えていたら、心と体を守ることが優先されます。
「警戒」状態では、「考える」「取り組む」「集中する」といったことは困難です。そうした状況が続くことで、大人でも「適応障害」などの心の不調に繋がることもありますね。
また、その時に感じていることや状態を大人や教師に受け止められ、自分自身でも認めることができ、「ありのままでいられる」ということも、安心して学習に取り組むためには大切なことです。
このように、お子さんを受け止め、心から安心できる環境を作ることは、様々な課題をクリアしていく上でも、とても大切なことです。
どうでしょうか。日々のお子さんとの関わりの中で、「完璧な大人」であることは、もちろん大人にとっても難しいことです。
しかし、ふとした時に、その子にとって「今、必要なこと」に目を向けて、関わり方を変えることで、状況がよくなるということもあります。
生物の機能としての「優先順位」から考えてみる
この、「心の内側から引き起こされる不安や恐怖」が強い状態があると、何かを行うことよりも、「危険をコントロール」し、その状況を回避することが優先されます。
なぜならそれは、生き延びるために必要なことだからです。
後にも残ってしまうような不安や恐怖・緊張などは、失敗や挫折をした時やあるいは誰かに何かを言われたりされたりした時、それがどのような状況で起こったか、出来事の点ではなく、その前後のプロセスごと録されます。
かつ、「恐怖」や「不安」などの不快な体験は、「断片的」な記憶として残っていくものでもあります。
ですから、そのことを思い起こさせたり、また繰り返される状況を避けるために、「その時」と状況が違ったとしても、心はその心自身を守るために働きます。
また、不安を調整するセロトニンやノルアドレナリン、覚醒・緊張状態になりやすくなるドーパミンなどの神経伝達物質の分泌の量にも個人差があると言われています。
そうした場合にも、不安を感じやすくなったり、緊張した状態が継続しやすくなり、心身が疲弊した状態になりやすいです。
その場合には、また別のアプローチが必要になります。
心の中で、行動ができない然るべき理由があってもそれはなかなか目に見えません。脳の中で神経伝達物質がどのような状態であるかももちろん目に見えません。
けれど、知識を身につけることによって目に見える様子から、目に見えない部分を予測することはできるようになります。
そうすると、お子さんの状態が「どのように見えるか」という大人の見る目も変わってきます。
「努力ができない」「力がない」「甘えている」と見なしていく方が、評価する側の負担(コスト)は実は少ないのです。
しかしそれは科学や心理学の説明で考えていくと、あまり合理的ではないことだとも言えます。
ですが、福祉や教育の現場では、目に見えない「心について」まで考慮する余裕がなく、そうした小さなコストで済む、表面的な情報から下される評価に子どもが晒されることがあるということも、残念ながら、実際に起きやすいことなのかもしれません。
子どもの発達のことを理解するために必要な、「大人の」心の発達
目に見える行動だけではなく、心や身体の「内側で起こっていること」について考えるには、まさにこれまでに見てきた「心の理論」を大人側も働かせていくことが必要なのかもしれません。
お子さんの「心の内側で起こっていること」について考えていくには、知識と共感、大人の心の知性のようなものも大いに役に立ちます。
「大人だからこそ、できること」で子どもたちを助け、サポートしていけたらもちろん良いのですが、日々の生活の中で、大人の方もそうした余裕を持っていくことが難しくなってきた現代でもあるかもしれません。
保護者の方や、教職の方、支援をされる方も、まず自分自身の心と体に手を当てて、自分の内側のことに「気が付く」時間を、ぜひ作ってみてください。
ここまで、「不安や恐怖、緊張」が動き出すことにストップをかけてしまっていると考えられる様子や可能性、その時にできることについて考えてきました。
次回の記事から、「何かをすることができない」時に起こっているその他の「見えない心の可能性」について、さらに続きをみていきましょう。
次回記事は明日の更新です。⭐️
クリスマスを過ごし、いよいよ年末に向かっていきますね。
一年の頑張りを認め合い、今の心と体にぜひ耳を傾けてあげてみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました⛄️
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どちらも、おなじくらい大事だと思うから。
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