学習塾ミチビキ

【スタッフのつぶやきvol. 50】「状況」と「認識」に合わせて行動を選ぶ ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?⑤ー



 

この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関しての

「なぜ?」「どうして?」について、

人間の心の理解」という観点から、「機能」や「仕組み」の基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。

 


 

こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です🌿

先週に引き続き、今週も寒い陽気が続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょう。

 

前回までの記事で、「実行機能」という脳の働きの中の一つである「ワーキングメモリ」の機能の中から、

 

「聞いたことを覚えておいて、また取り出す」言語性の機能である「音韻ループ」と、

「見たものを覚えておいて、参照しながら作業する」視空間性の機能である「視空間スケッチパッド」

それらの視覚や言語の情報として「今起きていること」と、「過去の経験や知識の記憶」を、長期的に保存されている記憶から呼び起こし結びつけることで、何かを表現したり、行動したり、説明したりすることができる「エピソードバッファ」の機能について考え、

それらを積極的に使い活性化させる遊びや作業について見てきました🃏

 

 

「脳の仕組み」や「機能」というと、少し難しそうな気がしますが、それらを活性化させる遊びや作業はどれも身近で、何気なくできそうな取り組みもたくさんありましたね。

 

 机に向かう前の「土台の力」が育つヒントは、生活や遊びの中に意外とたくさん散りばめられていそうです。

 

前回までの記事▶︎

【スタッフのつぶやきvol.49 】「記憶」や「知識」を組み合わせて使う ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?④ー - Michibikiゼミ




 

中央実行系が活性化される遊び・作業 ー情報をどのように使うかを調整し、まとめるー

 ここまで見てきた「音韻ループ」や「視空間スケッチパッド」、「エピソードバッファ」などは、「聞く」「見る」「思い出す」といったことを通して、

「今ある情報」と「自分の中にある情報」とを取り出し、扱うための機能でしたね。

 

今回見ていく「中央実行系」では、これらの複数の働きをまとめ、場面に応じて調整・選択する指示役のような役割をしています。

 

特に重要な働きとして、「選択的な注意」と「抑制の機能」が挙げられます。

「抑制」は、実行機能のより全体的な要素としても、以前の記事で見てきましたね。

中央実行系」というところの働きが、この抑制に大きく関わります。

 

 この働きによって、たくさんの情報の中から「今、必要なもの」に注意を向け、それ以外の関係ない情報(雑音や目に入るもの)や、「こうしたい」「気になる」という衝動を意識的に抑えて(抑制)選択したものを優先することができます。

 

 例えば、教室で先生の話を聞く場面だったとします「外から聞こえる音」や「隣の子のお動き」、「机の上の落書き」など、気になる情報はたくさんあります。

 しかし、それらのことに注意を集めず「先生の声」だけに集中し続けるには、中央実行系による「情報の選別」が必要です。

 

 そうした「選択的な注意」や「反応の抑制」も、実は遊びの中でもよく使っています。

「余計なものに気を取られず、『ルール』や『目的』に集中する」遊びは、「学習」や日々の「生活」の「土台となる力」にも繋がっていきます。

 

さっそくですが、例えば、

ルールのある遊び(鬼ごっこドッジボール・ハンカチおとしなど)の全般では、「ルール(記憶情報)」+「視覚」あるいは「聴覚」などの情報を使いながら、状況に応じて柔軟に動きを変えることで、まさに、情報を統合し判断の調整をする中央実行系を駆使しています。

ボードゲーム も、誰かと一緒に取り組むボードゲームでは、順番、ルール、相手の動きを同時に考えながら、自分の次の一手を選ぶということで同様です。

後出しじゃんけも、相手の手の情報を元に、ルールに則り対応した手を自分も出すことで、単純ですが、反射的な行動を抑制する練習になります。

カードゲーム(七並べ・UNOなど)でも、カードを減らすという目的に応じて、手持ちの情報を整理し、場の流れを見た上で、次の手を選ぶという、戦略的な要素の中で、「情報」→「行動の選択」という頭の働きをしていますね。

 

これらの、ルールに基づき打つ手を工夫するといった少し複雑な遊びでは、まさに頭の中で、中央実行系を使った作業を行っています。

どれも少し大きくなってから楽しめる遊びかもしれないですが、後出しじゃんけん」などは小さなお子さんでも取り入れやすいかもしれませんね。

 

 また、「二つのことを同時にする遊びや作業(デュアルタスク)」でも、中央実行系が使われていると言います。

そうした同時進行の作業は、習い事のなかに多くあります。

ピアノ(その他の楽器)そろばんが、まさにそうです。考えて手を動かしながら計算をしたり、左右の手でコードとメロディーを同時進行するといった作業ですね。

よりシンプルな作業では、

歌いながら手拍子をする

散歩をしながらしりとりをする

指を折動かしながら数を数える

歩きながら数を数える

左右の手でそれぞれ異なる順序で「グー」「チョキ」「パー」を出す

といったことも、実はデュアルタスクですね。

 

「運動の課題」と「認知の課題」を組み合わせることで、

「同時進行の課題」や「マルチタスク」を行うために必要な「中央実行系」が刺激・活性化されると考えられています。

 

もしかして、「これもデュアルタスク(二重課題)かも?」というアイディアがあれば、皆さんもぜひ▶︎http://【Michibikiゼミ】ブログ感想フォームからお寄せください📮

 

 ここでも大切なのは、上手にできることより、「考えながら作業する経験」に慣れたり、楽しみながらそれらを積み重ねることです。

 

 反対に、同時進行の課題が負担になっていることに気がついた時は、目の前の課題をよりシンプルにしてあげるという工夫もできますね。

 

ワーキングメモリが育つと、できること

ここまで、

「ワーキングメモリ」

「音韻ループ」

「視空間性スケッチパッド」

「エピソードバッファ」

「中央実行系」

 

と5回に分けて、人が何かを判断し、行動するために必要な「実行機能」の「ワーキングメモリ」が担う要素と、それらを使い活性化させる遊びや作業について考えてきました。

 

 

 どれも、学習にもコミュニケーションにも生活にも、とても大切な機能でしたね。

しかしそれらが、身近な遊びや作業の中でも大いに使われていることも同時にわかってきました。

 

ここまで見てきた内容をまとめると、

「頭の中の情報」について、

「情報の操作」を行い、

「注意の方向」を選ぶことで、

「その状況にあった「行動」ができる」

というように働いているのが「実行機能」であり、それを支える作業台が「ワーキングメモリ」の機能だと言えそうです。

 

「ワーキングメモリ」について、ここまではなるべく細かく、シンプルな要素に分けてみてきましたが、それらの機能によって私たちの中では、

 

注意を向ける・維持するといった注意のコントロール

取り組みの「開始」と「終わり」の切り替え

調節・修正・モニタリングといった行動の最適化(調整)

覚える・保持する・取り出すといった記憶の操作

予測・比較・評価といった見立てや分析

 

といった、様々な複雑な行為ができるようになっています。

 しかしもちろん、それらの高度な心(脳)の働きは、一度にできるようになるのでも、ある年齢になればできるというのでもありません。

 筋肉や運動、あるいは楽器演奏の技術などと同じように、働きや機能の全体で、「部分ごとの小さな積み重ね」をしていくことが、まとまった大きな力につながっていきます。

 

 例えば走り出すためにも、足の強さだけではなく呼吸する肺や血液を循環させる心臓の強さ、他にも様々な機能の発達が必要です。楽器を演奏するには、小さなフレーズや技術を少しずつ習得していくことが最も効率的です。

 

 「覚える」「思い出す」「書く」「計算する」「説明する」といった、「学習」に関する様々な作業も、それを支える、「小さな部分」が少しずつ育ち、心(脳の働き)に根を張った土台の力に支えられて成り立ちます。





 ここまで、実行機能の中の「ワーキングメモリ」について要素に分けて、どんな時にそれぞれの機能が活性化しているか、遊びや作業から考えてきました。

 

 ここまで見てきたような遊びや作業は、もちろん大人にとっても大切な頭の運動になります。

年齢や発達の成長の段階と、その時その子にあった方法で、またご家庭やご家族の中での良い方法で、「ワーキングメモリ」育むことをぜひ意識的にトライしてみてはいかがでしょうか🌱



そして、頭の中の作業台「ワーキングメモリ」を活性化させ育むには、がんばらせすぎないことも大切です。

 

以前の記事(実行機能がうまく働かなくなる理由)でも見たように、「頑張りすぎ」や「ストレス」「疲れが溜まる」ことによって、脳のパフォーマンスは下がりやすくなります。

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 頭の中の机が、「もっとやらなきゃ」「頑張らなきゃ」「できなかったらどうしよう」と、不安や心配でいっぱいになってしまっては、必要なことが机の上に乗らなくなってしまいます。

 

 短い時間で、楽しい形で、「できた」という経験を積み重ねていくことで、ワーキングメモリを積極的に使い育んでみましょう🌱☀️

 

 

 それでは、この続きはまた次回の記事で、実行機能の働きの一つである「反応に対する抑制(我慢)」を育む方法について見ていきましょう📝

 

ここまでお読みいただきありがとうございます!


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