学習塾ミチビキ

【スタッフのつぶやきvol.51】「気になっちゃう」でも、「少し待つ」ために ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?⑥ー



この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関しての

「なぜ?」「どうして?」について、

人間の心の理解」という観点から、「機能」や「仕組み」の基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにもつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。 

 

お久しぶりです!Michibikiゼミの渡辺です。

 

2週間があいてしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょう。

今の時期は期末テスト目前の方が多いかもしれませんね。

そんなテスト対策真っ只中時期、勉強に集中することがなかなか難しい方もいるかもしれません。

この記事では、前回に引き続き、自分の行動をコントロールする「実行機能」の働きについて考えていきたいと思います。

 

前回までの振り返り「ワーキングメモリ」について

これまでの記事では、注意や行動を調整し判断しながら行動することに必要な「実行機能」の機能の一つである「ワーキングメモリ」を4つの要素に分けて考えてきました。

 

ワーキングメモリとは、「何かを認知するプロセス」の全体にある記憶の機能を指し、「作動記憶」や「頭の中の作業台」と呼ばれるということを確認しましたね。

 

 聞いて覚える「言語性ワーキングメモリ」

 見て覚える「視空間性ワーキングメモリ」 

 ”過去の経験や知識の記憶”と、”今、知覚・認識している情報”とを繋ぎ合わせる「エピソードバッファ」 

 

それらの情報をまとめて、ある情報は抑制し、ある情報を優先的に選択するといった調整をし、”何に注意を向けるか”指令を出すのが「中央実行系」という機能でした。

 

それぞれの機能は重なり合って、様々な作業の継続や集中、選択や判断を可能にしています。

これらをまとめて「ワーキングメモリ」と呼びますが、これまでの記事ではその要素を分け、各機能に注目し、それらを活性化させることができる遊びや作業について考えてきましたね。

 

前回までの記事▶︎

michibiki.hatenablog.jp

michibiki.hatenablog.jp

 

michibiki.hatenablog.jp

michibiki.hatenablog.jp

michibiki.hatenablog.jp

 

ワーキングメモリの要素として最後に考えた「中央実行系」は、

以下の記事で取り上げた実行機能のなかの「抑制(反応抑制)」と深く関わると考えられています。

 

「実行機能」「抑制」についての記事▶︎

【スタッフのつぶやき vol.38】「わかっている」ことを、「行動にできる」こと① - Michibikiゼミ

 


「抑制」が働くことで、思いついたことや目の前の刺激に、すぐ反応せずにいることができ、その状況のなかでの優先順位に合った注意や集中を維持し、行動を取捨選択できるようになります。

 

お子さんの様子で、もし(頻繁に)以下のようなことが当てはまるとき、この「抑制」の機能の働きに注目して、日々の遊びや作業をしていくことで、刺激に対して「少し待つ」練習になっていくかもしれません。

 

例えば、

 思いついたことをすぐに口に出してしまう

 判断が必要な場面でも、考えるより先に体が反応しやすい

 ルールが分かっていても、つい破ってしまう

 順番を待つことが苦手

 

こうした様子が見られる時、
「思わず」の行動が、「わざと」やっているあるいは、そもそも「わかっていない」と見られてしまうことも多くあります。

しかし、お子さんにおいては、「抑制」が働くことで止まるはずの力が、

今はまだ「成長の途中」であるという可能性もあります。

 

「抑制」の機能は、「我慢」や「根性」や「気をつけること」だけで身につくものではなく、これまで見てきた他の機能のように、筋肉が育つように、

体験を通して少しずつ育っていく力であるとも考えることができます。

これは、習慣によって「頭の癖」を鍛えていくようなイメージでもあるかもしれません。

 

ここから、「抑制」の機能を積極的に使うことで活性化させられると考えられる遊びや作業について考えてみましょう📝

 

行動する前に”少し待つ”「反応抑制」を育てる遊び・作業

ー止まる・待つ・切り替える練習ー

抑制の力は、

 「待つ」

 「(それまでと)逆のことをする」

 「(意志的に)静止する」

といった経験の中で活発に使われます。

 

身近な遊びの中でも、この「抑制」の機能をたくさん使っています。

 

例えば、

 

だるまさんがころんだ
 動きたい気持ちを止めて、合図を待つ定番の遊びですね。鬼がいつ振り向くのかドキドキしながら、大人でも楽しめます。

 

フリーズ(音楽が止まったら止まる)
 音楽が鳴っている間に、「走り回る」「何かを探す」「踊る」など、楽しく動きます。音楽が止まったらピタッ!と「止まる」ことで、自分の意志で「静止」する練習になりますね。

この「フリーズ」の遊び、筆者も子どもの頃に英会話教室でよく行っていました。

音楽が鳴っている間に、自分が持っているアルファベットカードと同じイニシャルのものを部屋の中から探すという遊びで、とても楽しかったことを覚えています。ご家庭でも取り入れやすいかもしれないですね🔠

 

同じ要領で、何か楽しい合図に合わせて止まったり、室内で「赤青信号」を見立てながら、動く・止まるを模した遊びもできそうですね。

 

また、「抑制」機能とは、反射的に反応しそうになることを「抑制」するという意味でもあります。

ですから、「あえて」指示とは逆のことを行うルールの遊びや、「指示をよく聞いていないと間違える」遊びなども、この抑制の機能を活性化させると考えられます。

 

後出しじゃんけんなどはまさに、反射的な反応を抑制することで、相手の手を見てから、あえて負ける手を出すというゲームですね。

 

その他にも例えば、

 

あべこべ命令ゲーム
 聞いた言葉と「逆の行動をとる」ことをルールとする遊びは無限に提案できそうですね。「立って」と言われたら座る、「歩いて」と言われたら止まる、「ジャンプ!」と言われたらしゃがむなど、あべこべですが一度ルールを覚えて、ゲームの間だけ指示通りに動くというのがややこしくて楽しい遊びです。

小学生の頃、朝礼で校長先生がやっていたのを思い出しました🌷

 

前に立っている人の真似をする

一人の人が前に出て、その人と同じ動きをする遊びです。よく見ていないと間違えてしまう、少し複雑な動きや長い動きを組み合わせたりすると楽しいですね。

やってみると意外と注意力、集中力、記憶力を総動員しないと難しいです。

 

「◯◯さんは、言いました」(Simon says

これも英会話や英語圏のスクールでもよく取り入れられる遊びです。

「(名前)〜さんは、言いました!頭を触ってください」というふうに、サイモンさんや◯◯さんなど、そのゲームで決めた人の指示であった場合指示通りの動きをします。しかし、「××さんは言いました!しゃがんでください」あるいは、「ジャンプしてください」と、他の人の名前や、誰の指示か明示されない場合は動きません。

集中して聞くこと、聞いた情報が正しいのか判断すること、その上で体の動きをチェンジするなど、この遊びでも、これまでに見てきたワーキングメモリの働きを総動員していることがわかりますね。

 

フラッグ(旗あげゲーム)ゲームなども典型的な「抑制」を働かせる遊びですね。

もし皆さんの中にもアイディアがあれば、ぜひコメントでお寄せください🚩

 

日常生活の中でできる、「少し止まる」練習

遊びだけでなく、日常の中にも抑制を使う場面はたくさんありそうですね。

 

例えば、

食事や遊び、会話の順番を待つ

片づけなど、一度手を止めて、行動を選んでから次に進む

「今は待つ」「あとでやる」といったことを言葉で確認する

などのことも、抑制の働きを刺激します。

 

そして大切なのは、できなかった時に叱ることよりも、できた瞬間を見逃さないで、そのことを言葉で伝えることです

「今、止まれたね」

「順番、待てたね」

「遊びたい気持ちを抑えて、その前に片付けができたね」

「行動する前に、言葉で言えたね」

 

など、具体的によかった行動そのものを言葉にして伝えることで、「これができた」という肯定的な感覚をつかみやすくもなります。

 

「心の力」は目に見えなくてわかりづらいです。

そうした力が目に見えて急速に伸びるということもありません。

ですが、遊びや生活の中で何度も使っていく中で少しずつ慣れていくことで、抑制が働きやすくなり、作業に集中したり、少し待つことで、適切な判断をし、より良いコミュニケーションができるようになっていくこともあります。

 

私が以前関わったお子さんの中には、それまでの環境で「反射的に叱られた」経験が多いかったことで、その防衛反応として、お子さん自身も反射的・衝動的な行動が癖になっているのではないかと見受けられるお子さんもいました。

 

しかし、これまでに見たような、日常の何気ない場面での積み重ねを続けるうちに、

 遊びに行く前に宿題に取り組む

 行動する前に、どうしようか「相談」したり、なぜそうしたいのか「説明」する

 自分の分だけではなく、みんなの分を考えてお菓子を選ぶ

 みんなで会話していて自分が話したい時に「話してもいい?」と聞ける

など、日々の中の変化がぐんぐん見えるようになりました。

それは、その子が「できない」とは限らないと思わされる経験でした。

どんな子も、それまでの環境や経験の中で、自分の振る舞いを学びます。

 

高い集中力や忍耐を要する作業や学習などの場面だけでなく、普段からの関わりや遊びの中で、子どもは育ち、学んでいくのかもしれませんね。

 

見守る側も、もしうまくいかない時、それを「できない」というよりも、成長途中なのだと捉えることで、少し気持ちに余裕ができるかもしれません🌱

 

大人も、子どもも、落ち着いて「一呼吸」ですね。

 

雪も降り本格的に寒くなってきましたね。みなさまあたたかくしてお過ごしください。

 

それでは次回、「実行機能」が育つ遊びを考えるシリーズの最後の2つ、「更新・切り替え」についての内容をお届けしていきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました❄️


今回の記事の参照・参考元▼

認知心理学における中央実行系概念の変遷

子どものワーキングメモリーを鍛える方法8選!遊びながら記憶力を鍛えよう – 天神メディア

実行機能を伸ばすトレーニング例5つと効果性を高めるポイント

実行機能を鍛えればうまくいく⁈実行機能ってなんだろう?


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