
この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関する
「なぜ?」「どうして?」について、
「人間の心の理解」という観点から、機能や仕組みの基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。
目に見えない「心」について知ることが、
「この子の中で、何が起こっているのか」
「この子の世界には何が見えているのか」
について考える土台を持つことにもつながります。
そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。
こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。2月も終盤ですね。
実行機能が育つ遊びについて考えるシリーズ、今回の記事がいよいよ最後です。
まず最初に行動の調整や注意・集中の継続に必要な「実行機能」の働きについ確認し、
「ワーキングメモリ」「抑制」「更新」「切り替え」といった要素に分けてそれぞれが担っている働きを見て来ました。
そして、実行機能の要素であるそれぞれの機能から、それらを積極的に使った遊びについて考えて来ましたね。
実行機能の中心的な要素である「ワーキングメモリ」には、「言語性」「視空間性」「記憶」「注意」の機能があり、それらを使った遊びが身近に色々あることを見て来ました。それから、実行機能の要素である「抑制」「更新」についても見て来ましたね。
それでは今回の記事では、行動の「切り替え(Shifting)」について、その機能から、働きをより活性化させることができそうな遊びや作業には何があるのか考えていきましょう📝
更新された情報やルールに応じて行動する「切り替え」
実行機能の「切り替え(Shifting)」機能について考えていきましょう。
頭の中で「切り替え」の機能が働くことで、思考や行動を、状況に合わせてスムーズに切り替えることができます。
心理学では「認知的柔軟性」とも呼ばれます。
人間の脳は、ある状況に合わせたモード切り替えをします。
例えば、勉強や仕事などの「集中モード」から「休み時間モード」、あるいは「攻撃モード」や「守りのモード」へと、状況に応じたギアチェンジをしています。
車や自転車の「ギアチェンジ」と似ていますね。坂道になったら軽いギアに、平らな道なら速いギアに切り替えます。
この「切り替え」のスイッチが固いと、ギアチェンジが難しいです。
一度決めたルールから抜け出せなかったり(固執)、新しいやり方を受け入れて行動を変化させることへの抵抗を強く感じたりします。
「切り替え」の練習になる遊び
頭の中の「ギアチェンジ」のような「切り替え」も、実は身近な遊びで使っています。
あっち向いてホイ、皆さん遊んだことがあるのではないでしょうか。
あっち向いてホイは、「勝った」「負けた」の情報に応じて次の行動をスイッチする、実は「切り替え」機能を駆使した遊びなのです。
また、この遊びではじゃんけんと指差しの異なるルールを行き来することでも、頭の中で情報をスイッチし、役割を瞬時に入れ替えています。
またこれらをリズミカルに行うことで、反射よくルールの切り替えに対応する練習にもなります。
本当に何気ない身近な遊びですが、実行機能が働くことによってできる遊びでもあるのですね。
それから、集団遊びのフルーツバスケット(なんでもバスケット)も、まさに提示される情報に応じた行動の切り替えです。保育園や学校でも定番ですね。これも実行機能を総合的に使う高度な遊びです。
フルーツバスケットでは、鬼が出す「お題」で判断の基準(ルール)が毎回コロコロと変わっていきます。
例えば、「朝にパンを食べた人」と言われれば、当てはまる人が動き出します。その次のターンで「猫を飼っている人」と言われれば、その前のお題のことは忘れて、今出されたお題に合わせて動いたりそのまま停止したりします。
お題が変わるたびに、「自分は当てはまる?」と自分で確かめ、当てはまっていたら席を立って「動く」切り替えをします。
フルーツバスケットやなんでもバスケット、楽しいですね。お題を考えるのも、楽しいです。自由なお題で「今楽しい人!」と柔軟な発想をしたり、それを聞いて「自分はどうかな?」と咄嗟に考える練習にもなりそうです。
他の記事でも触れましたが、鬼ごっこなんかも役割の切り替えによる遊びですね。
日常生活で行っている何気ない「切り替え」
受け取った情報に合わせて行動を切り替えることは、日々の生活の中でもとても大切ですね。
「夕焼けチャイムが鳴ったから、家に帰る」
「ご飯の準備をするから、ゲームは終わり」
時計を見て「19時までには、お風呂に入ろう」
など、本当に毎日の大事な行動や家庭での約束を守るためにも、「切り替え」が必要です。
日常生活で切り替えをサポートするには、「予告」をすることに意味があります。
「時計の針がここに来たら、お片付けだよ」
「ここまで進んだら、終わりだね」
「◯◯時には出かけるから、その5分前の◯分には準備を終わらせようね」
など、事前にかつ具体的に「してほしい行動」を伝えることで、
はじ目の自転車のギアチェンジで例えると、「これから坂道になるよ!」と教えてあげるようなことかもしれません。
心のギアを入れ替えて、気持ちと頭の準備をする時間があれば、「変化」する状況へのスムーズな切り替えを助けることができます。
シリーズのまとめ
―「機能」を知れば、子どもへの「眼差し」が変わる―
これまで、「ワーキングメモリ(4つの要素)」「抑制」「更新」「切り替え」といった実行機能について考え、それらを活性化する遊びや作業について考えて来ました。
身近な昔ながらの遊びが、実は子どもの脳の発達にとって、理にかなったトレーニングになっていることが、もしかすると意外だったかもしれません。
「できない」や「困った」という時、その背景に「心(脳機能と経験)の成長」のプロセスが理由としてある場合もあります。
「どうしてできないの?」と思うような場面でも
「情報を『更新』することが追いついていないのかもしれない」
「『切り替え』るスイッチが重くて、今大変なのかもしれない」
そう考えることで、関わり方や声かけを工夫し、その子にとって必要なサポートができることもあります。
親子のコミュニケーションや遊びの中で、何気ないやりとりの中でできることもたくさんありそうです。
焦らず、楽しみながら 、生きる上でも必要になる様々な力を育てていきましょう。
長きに渡った「実行機能を育てる遊びシリーズ」を最後までお読みいただきありがとうございました!
Michibikiゼミでは、こうした「心の仕組み」に基づき、一人ひとりの得意や苦手などの特性を見つめることで、その子に合った学習指導を行ってまいります。
気になった方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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授業についていけなくても、学校のルールがまもれなくても、じぶんに合った学び方さえできれば、勉強はできるようになる。可能性は広げられる。
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