学習塾ミチビキ

【スタッフのつぶやきvol.55】「休み方」知っていますか?ー「疲れ」と「休息」についてー

 


の記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関する

「なぜ?」「どうして?」について、
人間の心の理解」という観点から、機能や仕組みの基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにもつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。


こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

新年度が始まり、進級や進学、新たな環境に歩み出した方も多くいらっしゃるでしょうか。

暖かい日と雨風の吹く日が忙しなく入れ替わり訪れているようにも感じます。

新たな環境や季節の移り変わりの中、皆さまどうぞ、お時間がある時は立ち止まりご自身の心や体の声にも耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

 

さて、 今回の記事では「疲労」「休息」について考えていきます。

 保護者の方からいただくご相談のなかでも、「うちの子は疲れやすい」といったお声は多く耳にします。

また、 「好きなことをしている時は元気そう。でも、勉強の話になると『疲れた』と言う」。

あるいは、「限界まで我慢して、突然電池が切れたように動けなくなる(不登校など)」。

最近では、「休みなさいと言っても、動画を見ていて、脳が休まっていない気がする」

といったお子さんの様子を伺うことも非常に少なくありません。

 

本日はこれらの事柄について、「心の仕組み」の視点から考えてみましょう。

「疲れ」を「感じる」ことも、私たち人間に備わった大切な心の機能です。

 

心で、「自分の疲れに気づくセンサー」の仕組みが、疲れの「感じやすさ」あるいは、「感じにくさ」、「休めなさ」などにも関係しています。

 

「疲労と休養」に関する話題や書籍は近年とても増えたのではないでしょうか。

それほどに多くの人が「ずっと疲れている」感じや、「休めていない」感じを抱えているのかもしれません。

 

「『疲れ』に気づけない」という状態

私たちは普段、「お腹が空いた」「喉が渇いた」「体が重い」などの、「身体のサイン」をキャッチしながら、食事や休息をとります。 

 

この、体の内側の状態を感じ取る能力を、心や脳の世界では「内受容感覚(Interoception)」とも呼びます。脳の中では、「島皮質(とうひしつ)」という場所が関わっています。

 

近年の研究では、発達に特性のあるお子さん(ASDやADHD傾向など)の多くが、この「内受容感覚」の働きに特異性を持っていることがわかってきました。 

つまり、「疲れている」という信号が脳に届きにくいということです。

 

もし、残りのエネルギーを示すメーターの動作に問題があるまま車が走り続ければ、ガス欠になって車が動かなくなってしまいますね。それにとても危険です。

 

実は筆者の渡辺も、疲れが限界に達するまで自分の疲れに気がつかなかったり、時には疲れているのではなく「自分に甘いのではないか」と、無理をして走り続けてしまうことがしばしばあります。

 

限界に近づきはじめて、「もう無理だ」と気づくことで、心と身体の防波堤から疲れが溢れた時、突然の「爆発」や、「身体がいうことをきかなくなる(起立性調節障害のような症状を含む)」といった状態にも繋がっていきます。

 

「疲れを感じづらい」状態は、周りからも見えづらく、本人にとっても段々と辛い状況を作ってしまいやすいと言えます。

 

参考元▼ 

Craig, A. D. (2002),How do you feel? Interoception: the sense of the physiological condition of the body.

東郷史治ら (2020), 自閉スペクトラム症における内受容感覚の特異性, 

 

「ゲーム」は休息になる?ー過集中、乖離、マスキングー

親御さまのお声の中で、「疲れたと言いながらゲームをずっとやっている」 という内容も実は多く耳にします。

脳科学的には、ゲームなどの刺激によって疲れを癒す行動を取ろうとすることは、「休息」というよりも「麻痺(まひ)」させている状態に近いといえます。

近年社会的にも注目されている「休養学」といったテーマでは、そうした疲れを麻痺させる行動は「マスキング(疲労感を一時的に隠す行為)」とも呼ばれています。

強い刺激(ゲームや動画)に没頭している時、脳内ではドーパミンといった報酬系の物質が刺激され分泌されると考えられます。

これにより、一時的に疲労感やストレスを感じなくなるのですね。

 

 そうした状態のことを「過集中(Hyperfocus)」とも呼びます。体は疲弊しているのに、脳だけが覚醒している状態です。かつ、その習慣は、本人も「楽しいから元気だ」と錯覚しやすいです。

電源を切った瞬間に、先送りにしていただるさが一気に押し寄せ、ドッと落ち込んでしまうこともあります。元気の前借りのようなものかもしれませんね。 

これは「サボり」ではなく、刺激がないと「自分を保てない」ほどエネルギーが枯渇しているサインとしても考えられます。

 

 筆者も実は、疲れている時や嫌なことがあった時ほど、延々と見たくないスマホの画面を何度も見てしまい、余計に疲れてしまった経験があります。

そんな時は、情報から距離を置いて、ゆっくりと深呼吸しながら、今自分が感じていることを認めることが一番良いような気がします。

他にも、そうした「マスキング」には、甘いものや栄養ドリンク、カフェインやアルコールといったも刺激物の摂取も該当します。

疲れている時は甘いものが摂りたくなるし、頑張りたい時はカフェインを取り入れたくなりますよね。しかし、それが実は身体を労っているのではなく、疲れを紛らわせて、元気を一時的に前借りしている状態なのかもしれません。

実際にストレスの低減や回復をしているというよりは、「覆い隠す」ことで乗り切ろうとしてしまうのですね。

 

参考元▼ 

Ashinoff, B. K., & Abu-Akel, A. (2021). Hyperfocus: the forgotten frontier of attention. 依存と嗜癖の心理臨床, 廣中直行 (2018).

 

 科学に基づく「正しい休み方」のヒント

では、「疲れ」を感じにくくても、どれだけ疲れているか、どれだけ休めばいいかを把握し、「上手に休息をとる」ためにはどうすればよいのでしょうか。

 「意志」や「自覚」に頼る、といったことだけではなく、環境調整やちょっとした取り組みなどの工夫で、「外部からの仕組み」を作り、「疲れに気がつく」「上手に休む」ことをサポートすることもできます。

① 疲れを「見える化」する(外的モニタリング) 

本人の、疲れに関する感覚だけではなく、「 客観的な指標」を共有してみましょう。

「体の状態」を言葉にすることも大切ですね。

例えば、

   「体が硬くなってきたから休憩やストレッチをしよう(深呼吸も大切です)」

「集中して◯時間(◯分)経ったから、一度横になろう」

「今の体力」を数値で表す。

といったことを習慣的に行うことです。実は筆者もこれらを実践しています。

筆者も朝から疲れているタイプで、一度「疲れ」に関係しているものが何かを一度考えた時、私の場合は睡眠や食事よりも、「前の日の活動量」との関係がありそうだったので、こうした工夫を取り入れるようになりました。

このように、「疲れの感覚」ではなく「数値」や「時間」などの客観的な指標で見て判断・管理することは、疲れの予防、特に「疲れ果ててしまう」ことを避けるためにも、非常に効果的です。

 

② 「刺激のない時間」をあえて作る(感覚の遮断) 

「疲れやすい」場合、目や耳から受け取る情報を処理するのに忙しく、常にオーバーヒートしていることもあります。

「何もしない」が苦手な場合は、少しの時間から「休む」ことに慣れたり、「ながら」でぼんやりする方法を見つけてみましょう。

タイマーで「3分だけ」「5分だけ」目を閉じて横になる

頭を使わないで(お風呂場に絵を貼るなどして)、なるべく湯船でぼんやりとして、少し長めに浸かる

重めの毛布にくるまることで、圧迫刺激をつくる

というふうに、物理的に情報を遮断しつつ、感覚的な刺激を計画的に取り入れるケア(センサリー・ダイエット)が、頭の中でアクセルがかかった状態を休ませてあげることに役立ちます。

そうした「ぼんやりしたい」時、よく選択される方法の一つに音楽がありますね。

しかし音楽も、種類によってはドーパミンの分泌を促し、「休息」を妨げることがあります。

けれど何もせず無音の状態でも、心の声が大きくなってきたり、ざわざわと不安になってくることはあります。

音楽家の故・坂本龍一さんは、あるインタビューの中で「理想の音は雨の音」と発言したことがあります。

体力がないと、音楽の熱量を受け止められない。そんな時、「雨の音」はちょうど良いのだそうです。これはとてもわかる気がします。

刺激をなくすだけではなく、「調整」することで、上手に付き合う方法もありそうですね。

 

参考元▼ 

理想の「音」は雨の音。音の自由を求め、原点へ──坂本龍一|WIRED.jp

坂本龍一さんが最期に聴いた音に耳を澄ませて 日記でたどるドキュメンタリー映画【クレッシェンド!】

感覚処理障害と感覚統合, A. Jean Ayres. 発達障害のある子の「感覚」の特性と支援, 岩永竜一郎 (2019).

 

さいごに

「休む」ということは、実は少しずつ身につけていく技術です。

「何に癒されるか」自然と気がつける人もいれば、自分が何に疲れ、何に癒され、回復していくのか気が付きづらい人もいます。

筆者もまさにその一人で、かつてはとにかくコーヒーをたくさん飲んだり、睡眠時間をあえて短くすることで過集中の状態を作り、「とにかく頑張る!」で課題を押し切ろうとしていました。

 特に、お子さんでも、頑張り屋さんで、まだ自分の体力や心の容量の限界に気づきにくいお子さんたちにとっては、「休む」ことは勉強すること以上に難しい課題かもしれません。

しかし私たちの心と体は有限ですから、疲れた分は、休んであげないとすり減ってしまいます。

もしお子さんが、家で「ダラダラ」しているように見えたり、無気力に見える時、「疲れ」と「回復」のバロメーターが大人より見えづらい中で、バランスを取ろうとしていることを想像するだけでも、かけたい言葉、してあげられることも変わってくるかもしれません。

「今日は早めに休もうか」

「頑張りすぎなくても大丈夫だよ」

「また明日、続きをやろう」

そうした「休むきっかけ」をくれる言葉を大人からかけてもらうことが、「お守り」になるかもしれません。

 

大人の言葉は、種のように子どもの心の中に残ってふとした時に発芽し、自分から行動を変えられる鍵にもなります。

 

そうした声かけを大切にしながら、Michibikiゼミでは学習だけでなく、こうした「自分自身のコントロールの仕方」といった、学習の土台についても、一緒に考えていきます。


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【スタッフのつぶやきvol.54】 「やる気」って何?

 


の記事では、子どもの「行動」や「反応」、「学習」に関する疑問
について、心の理解」という観点から、心の機能や仕組みの基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

 

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持っていくことにもつながります。

そうした知識の土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。

 


 

こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。

早くも3月ですね。間も無く年度の終わり、進級や進学など各々の節目を目前にした季節です🌸

雨が止んで春らしい風が吹いてきて、また今の時期は花粉症状に悩む方も多いですね。

 

そんな3月の初め、今回は「やる気」について考えていこうと思います。

毎日、何をするにも「やる気」に左右される私たち人間ですが、なかなか腰が重たいものです。

当塾としても、「勉強しなさいと言わないとやらない」 「ご褒美がないと動かない」など、

「学習面でのやる気」についてご相談をいただくことも多いです。

 

では、そもそも、「やる気」とは何でしょうか

 

これまで、「心の機能」に関する記事で見てきた「実行機能」は、行動するために必要な、様々な認知調整注意集中判断指示などを担う「脳の機能」でしたね。

 

では、「やる気」は、私たちの体のどこからやってくるのでしょう?

 

実は、「心の仕組み」を知ることで、なかなか思い通りにならない「やる気」も扱いやすくなることがあります。

 

「やる気」は、「根性論」や「意志」「努力」といった切り口から語られることも多いですが、もちろんそういった側面がないわけではありません。

 

しかし今回は、「気持ち」や「姿勢」ではなく、心理学や脳科学の視点から、「根性論」とはまた違った視点から「やる気」について考えていきます。

 

 「やる気」の仕組み

私たちが普段、「やる気」と呼んでいるものの正体は、脳内で分泌される「ドーパミン」という神経伝達物質の働きによるものですです。

それはいわゆる「報酬系」という神経基盤への刺激によって起こります。

 

脳の中心部には「側坐核(そくざかく)」という小さな部位があります。

ここが活動し、ドーパミンが放出されると、人は「何かをしたい」「ワクワクする」という意欲を感じます。

 

「側坐核」はエンジンが点火するところで、「ドーパミン」はガソリンのようなものかもしれません。

 

この「ドーパミン」、実は「目標を達成」して、報酬を実際に得た時だけでなく、

「これから良いことがありそうだ(報酬を予測した時)」に、もっとも強く分泌されるのだそうです。

 

例えば、ゲームに熱中できるのは、「この敵を倒せばレベルが上がる(報酬)」という予測が明確で、比較的すぐに結果が出るからだと考えることができます。

 一方で勉強は、「頑張っても問題が解けるかわからない」という不確実さ、「テストの結果はまだ先」という時差など、報酬の期待をしづらい取り組みだといえます。

 

また、この「予測」が、学習に困難さを抱えるお子さんの場合では、過去の失敗体験から

やってもできない(報酬は得られない)」という予測を、「学習している」ことが少なくありません。

自信を失ってしまっている状態ですね。

そういった場合、どれだけ叱咤激励しても、「報酬系」は刺激されず、エンジンはかからない状態になります。

 

こうした「やる気」の問題は、「人格(パーソナリティ)」の問題と混同されやすく、「怠惰(なまけている)」と見られたり、「やる気のない性格」のように、性格と紐付けて認識されてしまうこともしばしばあります。

 

しかし、この「やる気がない」という状況を、価値判断や人格などと切り離して「状態」として考えてみてはいかがでしょうか。

「結果への『期待』を持てない・持ちづらい(ドーパミン欠乏)」の状態は、なかなか本人の意思や努力だけでは変えづらいものです。

 

走ることに例えてみましょう。「走る意思」がないということと、「走る体力」がないことはまた別の問題です。

そのように「何が問題か」を根本的に考え、「分けて」考えることが、心理学でできることの一つのメリットだとも言えます。

この「やる気」の正体について、もう少し詳しくみていきましょう。

「やる気」について、 現在の研究でわかっていること

近年、「動機づけ」や「神経経済学」といった分野の研究では、「やる気」に関するいくつかのポイントが明らかになっています。まずはそれらについてみていきましょう。

 

 

脳は「コスト」と「メリット」を瞬時に計算する

 脳の中には行動のコストパフォーマンスを計算するエリアがあります。我々の頭の中の資源も、経済的資源と同様に限られているからです。

 

 頭の中には常に、「その行動にかかる労力(コスト)」「得られる報酬(メリット)」

を天秤にかける機能があります。

それは「前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)」と呼ばれる部分で行われます。

 

 

特に、ワーキングメモリ処理速度の特性がある場合、それらの機能を駆使する「勉強する」ことで消費される脳のエネルギー(コスト)は必然的に高くなります。

 大人が感じる「ちょっと教科書を開く」ことに使う労力が5だとすれば、そのコストが20にも30にも感じられている子だっているかもしれません。

対して得られるメリットが少なければ、頭の中では「やらない」方が「合理的」だという信号が出されます。

一般に「やる気がない」と呼ばれる状態では、背景でそういった心(脳)の中で起こる、ある意味で合理的な判断が起こっているのかもしれません。

これらのことは、特に、「神経経済学(Neuroeconomics)における、

努力に基づく意思決定(Effort-based decision making)」の分野でわかってきたことです。

 


参考元▼

Walton,  M. E., et al. (2004). 

Rudebeck, P. H., ... & Rushworth, M. F. (2006).

感情と知的情報処理の仕組み, 小野武年ら(2005)


 

 

「やる気」は動いた“後”についてくる 

心の仕組みから考える「やる気」については、実は少し厳しいと感じられるかもしれない事実が一つあります。

 多くの場合、私たちは直感的に「やる気が出た」から、「行動する」と考えがちです。

 

しかし、生理学的に考えれば「やる気」はむしろその逆で、「行動する」ことこそがやる気のスイッチを入れる鍵だと考えられます。

「行動する」→(脳が刺激される)→「やる気が出る」ということですね。

なので、誤解を恐れず言えば、何もしていないうちは「やる気が出ない」は当たり前だと言えます。

 

10代の頃、ある友人から「頑張らなくていいから、やってごらん」と言われたことがありました。

これは行動する前に気負いすぎてやる気やパフォーマンスを損なうより、やる気がなくても気負わず、「とりあえず」やってみたら、意外とできることがたくさんあると気がつかせてくれた言葉でした。

 

冒頭で出てきた、脳の「側坐核」は、身体を動かしたり、作業を始めたりすることで刺激され、神経伝達物質であるドーパミンを放出し始めます

心理学ではこれを「作業興奮」と呼びます。

 

 つまり、お子さんが行動する前に「やる気が出ない」と言っている時、脳の仕組みから考えると、それは当然のことなのです。

動いていないから、スイッチが入らない」のですね。

 待っていてもやる気は向こうからやって来ないようです。

 

小さくても「動く」ことが、やる気のエンジンをかけ、ガソリンが出る蓋をあける鍵になりそうです。

 

筆者自身も、自宅や仕事で、「片付けをする」やる気が出ない時は「本を一冊動かす」、

返信のメールを返す元気がない時は「メールの内容を読む」と、目的とする行動を小さく分解して考え、”一先ず動き出す”ことを意識しています。

 

「自分で決める」ことが脳のエネルギーになる

 さらにもう一点、「誰が決めたか」も「やる気」にかかわる重要なポイントです。

 人から強制された行動よりも、自分で選んだ行動の方が、持続的なモチベーションが高まることがわかっています。 

 

これを「自己決定理論」と言います。 

「勉強しなさい」と指示されると、脳はそれを「やらされること(コスト)」と感じ、ストレス反応(コルチゾール分泌)を示します。

 

一方で、「自分で決めた」という感覚は、報酬系をさらに活性化させます。


参考元▼

 Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2000). 

Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being. 自ら学ぶ意欲の心理学, 桜井茂男 (2009).


 


科学に基づく「やる気」の出し方

これまでみてきたことから、「やる気」の仕組みやイメージが何となく変わってきたのではないでしょうか。

それでは、科学的研究に基づく「論理的に考える、やる気の出し方」のアイディアをいくつか考えていきましょう。

 

① 行動にかかる「コスト」を極限まで下げる(スモールステップ) 

脳が「これならコストが低い(楽勝だ)」と判断するレベルまで、課題を小さく分解します。 

いきなり「宿題を全部やる」のは、脳にとってコストが高すぎてエラー(拒絶)が出ます。

しかし、 「とりあえず机に座るだけ」 「ノートを開くだけ」 「1問目の日付だけ書く」というように、「行動」を小さく分解して目標設定を下げます。

 

この方法を、行動分析学では「シェイピング法(形成化)」と呼びます。

「絶対に失敗しないレベル」までハードルを下げ、最初の一歩を踏み出すことで、それだけでも「作業興奮」の作用があります。

まずはハードルを地中からスタートするくらいの気持ちで低く設定するのがコツです。

「やる気」も種まきからですね🌱

 

 


参考元▼

 Skinner, B. F. (1953). Science and Human Behavior. 行動分析学入門, 杉山尚子 (2005).


② 行動の「報酬」を早くフィードバックする

ドーパミンは「遠くの大きなご褒美」よりも、「すぐ目の前の小さなご褒美」に反応しやすい性質があります。

また、「意欲(やる気)」の神経メカニズムに関して、ケンブリッジ大学のシュルツ博士らの研究(報酬予測誤差:reward pre- diction error)では、「予期せぬタイミング」や、「即時の報酬」が、特にドーパミン系を強く刺激することが示されています。ピンときた方もいるでしょうか。

実は、ギャンブルはまさにそのメカニズムですね。「当たるか外れるかわからない」「結果がすぐにわかる」という構造の中で、依存性を強める仕組みがあります。

 

特に学習に苦手意識がある場合は、「テストでいい点を取る」という未来の報酬は、結果が不確実な割に時間的に遠くて、行動にエンジンをかける材料になりづらいかもしれません。

 

 

そこで、まずは小さなことでも、「行動」と「良い結果」の距離を縮め、脳に「勉強=良いこと」という回路(強化学習)をつくっていきましょう。

・一問解けたら、その場ですぐに「解けたね!」「できたね!」とポジティブな声をかける

・10分集中できたら、好きなおやつを一つ食べる

・できたページに大きな花丸をつける、

など、実際の学習指導でもお子さんに対して、大人がこうした工夫した関わりを行うことで、「勉強を進めていくと良いことがある」という感覚がお子さんの中でも繰り返し思い出されやすくもなっていきます。


参考元▼ 

Schultz, W. (1998). Predictive reward signal of dopamine neurons. 

動機づけと脳内メカニズム, 松本健二 (2005).


 

③ 「選択肢」を委ね、「自己決定」したという感覚をサポートする

 

もう一つは、「自己決定」です。「指示」を「質問」に変えてみましょう。 

 

例えば、「勉強しなさい」と言いたい時、

英語と数学、どっちから始める?

 「15分やる? それとも20分?

遊びと勉強、どっち先にする? 

と問いかけてみてください。

 

これは実際の指導現場でも常に実践しています。すると不思議と、自ら考え学習計画をたて、計画通りに学習を進めることができるお子さんは実はたくさんいます。

 

「勉強する」というコストの高い行動の決定権を、こちらから下さず、「自分で決められる」コミュニケーションを大人が尊重することで、たとえ内容は同じ学習でも、「自分で選んだ」という感覚を持つことができます。

 

さいごに

 「やる気」は、脳という臓器の中で起こるある種の反応であり、学習ともいうことができます。

「性格」やその子の「根性」の問題とは一概に言えなさそうですね。

 

だからこそ、理由にあった「方法」で、少しずつコントロールできるようアプローチができるものでもあります。

 

そう考えると、動かないお子さんの姿を見た時の気持ちが、少し変わりませんか? 

「なんでやらないの!」と責めるより、 「今のこの子には、心のコストが高いのかも」

 「エンジンを動かすために必要なガソリン(神経伝達物質)がないんだ」と

 ニュートラルな「状態」としてその行動をみてみることで、「じゃあ、ハードルをもう少し下げてみようか」 といった冷静で合理的な対処もしやすくなります。

 

とはいえ、「勉強して!」と言いたくなるのも大人の常ですね💦

そんな時こそ、一呼吸おいて、二人三脚の方法を考えていきましょう!

 

Michibikiゼミでは、「心の理解」に基づく、一人ひとりに合った論理的な課題解決を大切にしています。

お気軽にご相談ください。

 

それでは、ここまでお読みいただいてありがとうございました🌱

寒暖差の落ち着かない時候、皆さまご自愛ください☕️


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授業についていけなくても、学校のルールがまもれなくても、じぶんに合った学び方さえできれば、勉強はできるようになる。可能性は広げられる。

 

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【スタッフのつぶやきvol.53】状況に合わせて行動する ー〈シリーズ〉日常の中で「実行機能」を育む⑧ー

この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関する

「なぜ?」「どうして?」について、
人間の心の理解」という観点から、機能や仕組みの基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにもつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。

 

 

こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。2月も終盤ですね。

実行機能が育つ遊びについて考えるシリーズ、今回の記事がいよいよ最後です。

 

まず最初に行動の調整や注意・集中の継続に必要な「実行機能」の働きについ確認し、

「ワーキングメモリ」「抑制」「更新」「切り替え」といった要素に分けてそれぞれが担っている働きを見て来ました。

そして、実行機能の要素であるそれぞれの機能から、それらを積極的に使った遊びについて考えて来ましたね。

実行機能の中心的な要素である「ワーキングメモリ」には、「言語性」「視空間性」「記憶」「注意」の機能があり、それらを使った遊びが身近に色々あることを見て来ました。それから、実行機能の要素である「抑制」「更新」についても見て来ましたね。

それでは今回の記事では、行動の「切り替え(Shifting)」について、その機能から、働きをより活性化させることができそうな遊びや作業には何があるのか考えていきましょう📝

 

更新された情報やルールに応じて行動する「切り替え」

実行機能の「切り替え(Shifting)」機能について考えていきましょう。

頭の中で「切り替え」の機能が働くことで、思考や行動を、状況に合わせてスムーズに切り替えることができます。

 

心理学では「認知的柔軟性」とも呼ばれます。

人間の脳は、ある状況に合わせたモード切り替えをします。

例えば、勉強や仕事などの「集中モード」から「休み時間モード」、あるいは「攻撃モード」や「守りのモード」へと、状況に応じたギアチェンジをしています。

車や自転車の「ギアチェンジ」と似ていますね。坂道になったら軽いギアに、平らな道なら速いギアに切り替えます。

この「切り替え」のスイッチが固いと、ギアチェンジが難しいです。

一度決めたルールから抜け出せなかったり(固執)、新しいやり方を受け入れて行動を変化させることへの抵抗を強く感じたりします。

 

「切り替え」の練習になる遊び

頭の中の「ギアチェンジ」のような「切り替え」も、実は身近な遊びで使っています。

 

あっち向いてホイ、皆さん遊んだことがあるのではないでしょうか。

あっち向いてホイは、「勝った」「負けた」の情報に応じて次の行動をスイッチする、実は「切り替え」機能を駆使した遊びなのです。

また、この遊びではじゃんけんと指差しの異なるルールを行き来することでも、頭の中で情報をスイッチし、役割を瞬時に入れ替えています。

またこれらをリズミカルに行うことで、反射よくルールの切り替えに対応する練習にもなります。

 

本当に何気ない身近な遊びですが、実行機能が働くことによってできる遊びでもあるのですね。

それから、集団遊びのフルーツバスケット(なんでもバスケット)も、まさに提示される情報に応じた行動の切り替えです。保育園や学校でも定番ですね。これも実行機能を総合的に使う高度な遊びです。

フルーツバスケットでは、鬼が出す「お題」で判断の基準(ルール)が毎回コロコロと変わっていきます。

例えば、「朝にパンを食べた人」と言われれば、当てはまる人が動き出します。その次のターンで「猫を飼っている人」と言われれば、その前のお題のことは忘れて、今出されたお題に合わせて動いたりそのまま停止したりします。

お題が変わるたびに、「自分は当てはまる?」と自分で確かめ、当てはまっていたら席を立って「動く」切り替えをします。

フルーツバスケットやなんでもバスケット、楽しいですね。お題を考えるのも、楽しいです。自由なお題で「今楽しい人!」と柔軟な発想をしたり、それを聞いて「自分はどうかな?」と咄嗟に考える練習にもなりそうです。

他の記事でも触れましたが、鬼ごっこなんかも役割の切り替えによる遊びですね。

 

日常生活で行っている何気ない「切り替え」

受け取った情報に合わせて行動を切り替えることは、日々の生活の中でもとても大切ですね。

「夕焼けチャイムが鳴ったから、家に帰る」

「ご飯の準備をするから、ゲームは終わり」

時計を見て「19時までには、お風呂に入ろう」

など、本当に毎日の大事な行動や家庭での約束を守るためにも、「切り替え」が必要です。

日常生活で切り替えをサポートするには、「予告」をすることに意味があります。

「時計の針がここに来たら、お片付けだよ」

「ここまで進んだら、終わりだね」

「◯◯時には出かけるから、その5分前の◯分には準備を終わらせようね」

など、事前にかつ具体的に「してほしい行動」を伝えることで、

はじ目の自転車のギアチェンジで例えると、「これから坂道になるよ!」と教えてあげるようなことかもしれません。

心のギアを入れ替えて、気持ちと頭の準備をする時間があれば、「変化」する状況へのスムーズな切り替えを助けることができます。

 

シリーズのまとめ

―「機能」を知れば、子どもへの「眼差し」が変わる―

これまで、「ワーキングメモリ(4つの要素)」「抑制」「更新」「切り替え」といった実行機能について考え、それらを活性化する遊びや作業について考えて来ました。

身近な昔ながらの遊びが、実は子どもの脳の発達にとって、理にかなったトレーニングになっていることが、もしかすると意外だったかもしれません。

「できない」や「困った」という時、その背景に「心(脳機能と経験)の成長」のプロセスが理由としてある場合もあります。

「どうしてできないの?」と思うような場面でも

 「情報を『更新』することが追いついていないのかもしれない」

 「『切り替え』るスイッチが重くて、今大変なのかもしれない」

そう考えることで、関わり方や声かけを工夫し、その子にとって必要なサポートができることもあります。

親子のコミュニケーションや遊びの中で、何気ないやりとりの中でできることもたくさんありそうです。

焦らず、楽しみながら 、生きる上でも必要になる様々な力を育てていきましょう。

 

長きに渡った「実行機能を育てる遊びシリーズ」を最後までお読みいただきありがとうございました!

 

Michibikiゼミでは、こうした「心の仕組み」に基づき、一人ひとりの得意や苦手などの特性を見つめることで、その子に合った学習指導を行ってまいります。

気になった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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【スタッフのつぶやきvol.52】頭の中の情報を更新(アップデート)する ー〈シリーズ〉日常の中で「実行機能」を育む⑦ー



この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関する

「なぜ?」「どうして?」について、
人間の心の理解」という観点から、機能や仕組みの基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにもつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。

 

 

こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。皆様いかがお過ごしでしょう。

2月も半ばとなりました。明日はバレンタインですね🍫

「実行機能が育つ遊びについて考えるシリーズ」も残り二つです。

 

これまで、実行機能の働きを担う「ワーキングメモリ(4つの要素)」と

「抑制」、それらを積極的に使った遊びについて考えて来ましたね。

 

それでは実行機能の残り二つ「更新」と「切り替え」の機能についても見ていきましょう。

 

頭の中で情報を書き換える「更新」―頭の中のメモ―

はじめに 「更新」とは?

まず、「更新(Updating)」という機能について考えてみましょう。

 これは文字通り、ワーキングメモリの中にある情報を、状況の変化に合わせて更新し、「最新のものに書き換える」機能です。

 

頭の中に、小さなホワイトボードやメモ帳があるとイメージします。

 そこには「今、覚えておくこと」が書かれているとします。

変化する状況に合わせて、情報を新しくする必要がある場面を思い浮かべてください。

脳内で情報がスムーズに書き換えられている時、私たちは次のような処理を行っています。

例えば、

 

暗算や計算問題(繰り上がり・繰り下がり)

 計算をする際、私たちは「一の位の計算結果」を一時的に覚え、十の位に繰り上がった瞬間に、前の数字を捨てて「新しい桁の数字」を記憶し直します。

古い数字(計算前の数)を消去し、計算後の新しい数字(答えや繰り上がり)に書き換えることで、この計算処理を行うことができます。

 

球技や鬼ごっこなどのスポーツ

 サッカーやドッジボール、鬼ごっこなどの遊びやスポーツも「更新」の連続です。

「あっちにボールが来た」「相手が右に動いたから、自分は左へ」と、刻一刻と変わる状況に合わせて、自分の動きのプランを瞬時に書き換えています。

「攻める」から、「守る」への変更も、これまでの状況に関する情報の更新ですね。

 

会話のキャッチボール

 相手の話を聞きながら、自分が次に言おうとしていたことを修正する場面です。

例えば、自分が「昨日の出来事についての話」をしようとしていたけれど、相手が「今日の授業の話」をしてきた時、状況への情報を更新し、用意していた話題を一旦止めて、相手の話に応答します。これは状況に対する情報の更新でもあり、これまでに見た抑制の機能でもありますね。

実際、これらのことは、これまでに見た実行機能やワーキングメモリといった機能の働きが重なり合うことで可能になっています。

 

例えば、以下のような様子が見られる時は、そうした「情報の更新」が瞬時に難しい状況が起こっている可能性もあります。

 

終わった話題を話し続ける(情報の消去不全) 

みんなで別の話題に移って盛り上がっているのに、一人だけ「でね、さっきの電車の話なんだけど…」と、延々と前の話題に戻ってしまうことがあります。

こうした時、もしかしたら頭の中で「さっきの話題」が消えず、新しい話題を上書きすることができていない状態なのかもしれません。

空気が読めない、コミュニケーションがうまくいかない、といった見られ方をしてしまうこともあるかもしれません。

そんな時、「自分が気になるから思いのまま話している」というより、実は「情報の書き換え」がうまくいってないのかもしれません。

 

 間違い直しで、また同じ間違いを書く(修正の不全)

何気ない場面ですが、 漢字や計算のミスを消しゴムで消して書き直して、でもまたさっきと同じ、間違った答えを書いてしまうといった時も、更新がうまくできない時です。頭の中には初めの情報のイメージが強く残っていて、更新されないんですね。

筆者も疲れている時にそうした間違いをした覚えがあります。

「わかっているのに間違える」と言われがちですが、これは不注意だけが原因ではなく、集中していても頭の中で情報を書き換える「更新」という機能が働くのに、何か負担がかかっているのかもしれません。

 

「やっぱり◯◯で」と後発の指示を出されると少し固まる(変更への対応)

例えば、「今日の移動はA教室です」と言われて「あ、間違えた!やっぱりB教室です」と訂正されると、それでもA教室に行こうとしたり、少し混乱したりパニックになる場合もあります。

最初に聞いた情報が固定され、新しい情報への書き換え(アップデート)処理が追いつかない状態ですね。

また、記憶機能には「初頭性効果」といって、一般的に初めの情報がより強く残る傾向があります。 

この時、古い情報から新しい情報に書き直し、メモを書き換えるのが「更新」です。

この機能がうまく働かないと、古い情報が頭に残り続けてしまったり、混乱してしまったりしますね。

 

情報を「更新」しながら楽しむ遊び

「更新」の力は、楽しみながら使うことで、どうやって頭の中の情報を書き換えていくのか、もちろん個人差があるものですが、感覚的に慣れていくこともできます。

 頭の中のホワイトボードを「書いて、消して、また書く」このサイクルをスムーズに行うような遊びについて考えてみましょう。

 

つみき式しりとり(お買い物ゲームなど)

普通のしりとりではなく、前の人が言った言葉を全部覚えて言っていく遊びです。

 

(例:りんご → りんご、ゴリラ → りんご、ゴリラ、ラッパ……)

 

この遊びの中で、脳はまさに以下のような複雑なプロセスを高速で行っています。

保持(Keep): これまでの単語リストを頭のホワイトボードに残しておく。

追加(Add): 新しい単語(ラッパ)をリストに書き加える。

照合(Check): 順番が合っているか、抜けていないかを確認する。

出力・再更新: 口に出して答え、さらに「次の人の番」に向けて、そのリストを最新の状態で保存し直す。

 

同じ要領で考えると「山手線ゲーム」も同様の作業を行う定番の遊びですね。「果物の名前」「赤いもの」など、お題を決めてリズムよく答えていく、お馴染みのゲームです。 実はこれも、「更新」機能をフル活用する高度な遊びです。

 

「一度出た言葉は言えない」というルールによって、頭の中の「既に出た言葉」のリストが更新されていきます。そのリストをチェック(照合)しながら、負けないように次の言葉を考えますよね。ゲームが進むにつれて「既に出た言葉のリスト」の情報はどんどん増えていきます。

ですから頻繁な「書き換え」 の操作が頭の中で必要になります。

 「あ、それさっき言った!」と気づけるのは、更新機能が働いている証拠です。

 

後出しジャンケン(指示出しver.)

他の実行機能を活性化させる遊びの記事でも登場しましたね!

通常のジャンケンは「勝つ」手を出すことが目的ですが、遊びの中でルール変更をすることで、情報の更新の練習もできます。

例えば、じゃんけん!ぽん!で出した手を、片方が「負けて」「勝って」「相子にして」というふうに指示を出すことで、頭の中で情報を更新し、それに対応した手をだす「切り替え」の練習にもなります。

 

クラップゲーム(特定の合図で手を叩く)

こちらも、英語圏のスクール等でも定番の遊びです。

例えば数字やアルファベットを順番に「1、2、3……「A、B 、C.......」と数字を唱えていきます。そして自分で決めた「6」や「F」などの特定の条件では、声に出さずに「手を叩く」など特別なアクションを加えます。他にも、「6の倍数でジャンプ」「Fでターン」といったように動きを加えてもいいですね。まるでゲームやパソコンのコマンドのようです。

失敗しても大丈夫な「遊び」という状況で、笑い合いながら取り組むことで、間違いへの耐性もつきます。

この「コマンド」に反応するというルールを活用した遊びで、より複雑ですが「サイレントフットボール」なんかも、道具がなくても楽しくみんなで遊べるゲームです。

 

遊び方のポイントとバリエーション

遊びを通して機能を活性化させる時、大切なのは「スピードや正解できることを求めすぎない」ことです。

スモールステップで

 最初は「保持」する情報の数を少なくしたり、指示を固定したりして、負担やハードルを下げましょう。「できた!」という感覚こそが、その機能の活動の働きをより活性化させます。

視覚情報の補助

 耳で聞くだけで「更新」の練習が難しい時は、指を使ったり、イラストを活用して、ワーキングメモリの負担を減らしながら、工夫して遊ぶこともできます。

 

日常生活での「更新」機能

遊びだけでなく、日常生活の中でも行っている何気ない「認知の更新」について考えてみましょう。

日常生活で行っている何気ない「更新」

料理

 「お湯を沸かしながら野菜を切る」

「お湯が沸いたら火を弱める」

「また野菜を切る」

といった、状況に応じた作業手順の切り替えも、認知の更新と行動の切り替えができるからこそ成立する一連の行為ですね

 

予定の変更

 「雨が降ってきたから、行き先を公園ではなく図書館にしよう」と、気持ちと行動を切り替える。

といったことも、認知・感情・行動の更新と切り替えを行っています。

 

小さい子だと、突然の予定変更に納得できなかったり、気持ちが追いつかないこともよくありますね。

もし、急な予定変更でパニックになったり、一つの話題にこだわり続けたりする様子がある時、「わがまま」とするよりも、「頭の中の予定表の書き換え(更新)」に時間がかかっていて、その子も大変な気持ちでいるというふうにみてあげると、声かけやできる関わりも変わって来ますね。

 

終わりに

「更新」が苦手なお子さんの頭の中では、古い情報が残り続けるといった特徴があります。

一度書いた文字が消えにくい油性ペンのようかもしれません。

そこに新しい情報を無理やり上書きしようとすると、頭の中のメモがぐしゃぐしゃっと真っ黒になり、混乱してしまいます。

 

そんな時、お子さんが気持ちが追いつかないまま、何かを「強制終了」されたり、「無視」されたと感じずに、「完了した」という安心を感じた上で、次の情報へ移りやすくする、優しい情報の更新の方法もあります。

 

「まずは、「今のお話」は一旦終わりにできる?」と声をかけてみたり、「そのお話、面白かったね。じゃあ、今の話はここにしまっておいて(...とポケットにしまう)、次のお話もできる?」とユーモラスに楽しく提案することもできます。これは筆者が実際にやってみて、小学生くらいの子が相手でも、笑って「いいよ!」と答えてくれた方法でした。

 

「ユーモア」や「冗談」ちょっとしたおふざけも、時にコミュニケーションを良いものにしてくれます。

 

また、視覚的なサポートも、非常に有効です。 

言葉だけでは難しい時、手振りや指さしなどの合図を使っても良いですね。

「はい、ここでおしまい!というときに、手で形を作ったり、広げた両手をパッタンと閉じる動作を筆者もボディランゲージとしてよく活用します。

 

それから、 変化についての予告をすることも、できる時にはしてあげるといいですね。 

状況に応じて、行動や認識をアップデートしたい時、急に新しい指示を出すのではなく、ワンクッション置いて、

「あと5分したら、今の遊びは終わりだよ。心(頭の中)の準備をしておいてね。」と声かけをしたり、急に情報が変わる時は、「さっきはAと言ったけれど、それは消して、Bに書き直せるかな?ごめんね」という、 「消して、書き直す」というプロセスの丁寧な言語化も、受け手の処理の負担を減らすことにつながります。

 

大人がその「心の中の見えない書き換えの時間」を作って待ってあげることは、お子さんが安心して、次のことをしていく大きなサポートになるはずです。

 

「更新」が苦手なのは、「一つのことを大切に覚え続けている力」というふうにも考えられます。

 

「どうして、できないの?」という眼差しが、「どう言えば伝わるかな?どうすればできるかな?」という視点になると、一つ一つの関わりや声掛けが、その子にとって必要な寄り添ったものになっていきます。 

 

Michibikiゼミでは、こうした心の特性を理解しながら、一人ひとりに合った学習や関わりのヒントをこれからもお届けしていきます。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

 

【今回のブログの感想・ご意見はこちらから募集しています!】

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どちらも、おなじくらい大事だと思うから。

 

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授業についていけなくても、学校のルールがまもれなくても、じぶんに合った学び方さえできれば、勉強はできるようになる。可能性は広げられる。

 

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【スタッフのつぶやきvol.51】「気になっちゃう」でも、「少し待つ」ために ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?⑥ー



この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関しての

「なぜ?」「どうして?」について、

人間の心の理解」という観点から、「機能」や「仕組み」の基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにもつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。 

 

お久しぶりです!Michibikiゼミの渡辺です。

 

2週間があいてしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょう。

今の時期は期末テスト目前の方が多いかもしれませんね。

そんなテスト対策真っ只中時期、勉強に集中することがなかなか難しい方もいるかもしれません。

この記事では、前回に引き続き、自分の行動をコントロールする「実行機能」の働きについて考えていきたいと思います。

 

前回までの振り返り「ワーキングメモリ」について

これまでの記事では、注意や行動を調整し判断しながら行動することに必要な「実行機能」の機能の一つである「ワーキングメモリ」を4つの要素に分けて考えてきました。

 

ワーキングメモリとは、「何かを認知するプロセス」の全体にある記憶の機能を指し、「作動記憶」や「頭の中の作業台」と呼ばれるということを確認しましたね。

 

 聞いて覚える「言語性ワーキングメモリ」

 見て覚える「視空間性ワーキングメモリ」 

 ”過去の経験や知識の記憶”と、”今、知覚・認識している情報”とを繋ぎ合わせる「エピソードバッファ」 

 

それらの情報をまとめて、ある情報は抑制し、ある情報を優先的に選択するといった調整をし、”何に注意を向けるか”指令を出すのが「中央実行系」という機能でした。

 

それぞれの機能は重なり合って、様々な作業の継続や集中、選択や判断を可能にしています。

これらをまとめて「ワーキングメモリ」と呼びますが、これまでの記事ではその要素を分け、各機能に注目し、それらを活性化させることができる遊びや作業について考えてきましたね。

 

前回までの記事▶︎

michibiki.hatenablog.jp

michibiki.hatenablog.jp

 

michibiki.hatenablog.jp

michibiki.hatenablog.jp

michibiki.hatenablog.jp

 

ワーキングメモリの要素として最後に考えた「中央実行系」は、

以下の記事で取り上げた実行機能のなかの「抑制(反応抑制)」と深く関わると考えられています。

 

「実行機能」「抑制」についての記事▶︎

【スタッフのつぶやき vol.38】「わかっている」ことを、「行動にできる」こと① - Michibikiゼミ

 


「抑制」が働くことで、思いついたことや目の前の刺激に、すぐ反応せずにいることができ、その状況のなかでの優先順位に合った注意や集中を維持し、行動を取捨選択できるようになります。

 

お子さんの様子で、もし(頻繁に)以下のようなことが当てはまるとき、この「抑制」の機能の働きに注目して、日々の遊びや作業をしていくことで、刺激に対して「少し待つ」練習になっていくかもしれません。

 

例えば、

 思いついたことをすぐに口に出してしまう

 判断が必要な場面でも、考えるより先に体が反応しやすい

 ルールが分かっていても、つい破ってしまう

 順番を待つことが苦手

 

こうした様子が見られる時、
「思わず」の行動が、「わざと」やっているあるいは、そもそも「わかっていない」と見られてしまうことも多くあります。

しかし、お子さんにおいては、「抑制」が働くことで止まるはずの力が、

今はまだ「成長の途中」であるという可能性もあります。

 

「抑制」の機能は、「我慢」や「根性」や「気をつけること」だけで身につくものではなく、これまで見てきた他の機能のように、筋肉が育つように、

体験を通して少しずつ育っていく力であるとも考えることができます。

これは、習慣によって「頭の癖」を鍛えていくようなイメージでもあるかもしれません。

 

ここから、「抑制」の機能を積極的に使うことで活性化させられると考えられる遊びや作業について考えてみましょう📝

 

行動する前に”少し待つ”「反応抑制」を育てる遊び・作業

ー止まる・待つ・切り替える練習ー

抑制の力は、

 「待つ」

 「(それまでと)逆のことをする」

 「(意志的に)静止する」

といった経験の中で活発に使われます。

 

身近な遊びの中でも、この「抑制」の機能をたくさん使っています。

 

例えば、

 

だるまさんがころんだ
 動きたい気持ちを止めて、合図を待つ定番の遊びですね。鬼がいつ振り向くのかドキドキしながら、大人でも楽しめます。

 

フリーズ(音楽が止まったら止まる)
 音楽が鳴っている間に、「走り回る」「何かを探す」「踊る」など、楽しく動きます。音楽が止まったらピタッ!と「止まる」ことで、自分の意志で「静止」する練習になりますね。

この「フリーズ」の遊び、筆者も子どもの頃に英会話教室でよく行っていました。

音楽が鳴っている間に、自分が持っているアルファベットカードと同じイニシャルのものを部屋の中から探すという遊びで、とても楽しかったことを覚えています。ご家庭でも取り入れやすいかもしれないですね🔠

 

同じ要領で、何か楽しい合図に合わせて止まったり、室内で「赤青信号」を見立てながら、動く・止まるを模した遊びもできそうですね。

 

また、「抑制」機能とは、反射的に反応しそうになることを「抑制」するという意味でもあります。

ですから、「あえて」指示とは逆のことを行うルールの遊びや、「指示をよく聞いていないと間違える」遊びなども、この抑制の機能を活性化させると考えられます。

 

後出しじゃんけんなどはまさに、反射的な反応を抑制することで、相手の手を見てから、あえて負ける手を出すというゲームですね。

 

その他にも例えば、

 

あべこべ命令ゲーム
 聞いた言葉と「逆の行動をとる」ことをルールとする遊びは無限に提案できそうですね。「立って」と言われたら座る、「歩いて」と言われたら止まる、「ジャンプ!」と言われたらしゃがむなど、あべこべですが一度ルールを覚えて、ゲームの間だけ指示通りに動くというのがややこしくて楽しい遊びです。

小学生の頃、朝礼で校長先生がやっていたのを思い出しました🌷

 

前に立っている人の真似をする

一人の人が前に出て、その人と同じ動きをする遊びです。よく見ていないと間違えてしまう、少し複雑な動きや長い動きを組み合わせたりすると楽しいですね。

やってみると意外と注意力、集中力、記憶力を総動員しないと難しいです。

 

「◯◯さんは、言いました」(Simon says

これも英会話や英語圏のスクールでもよく取り入れられる遊びです。

「(名前)〜さんは、言いました!頭を触ってください」というふうに、サイモンさんや◯◯さんなど、そのゲームで決めた人の指示であった場合指示通りの動きをします。しかし、「××さんは言いました!しゃがんでください」あるいは、「ジャンプしてください」と、他の人の名前や、誰の指示か明示されない場合は動きません。

集中して聞くこと、聞いた情報が正しいのか判断すること、その上で体の動きをチェンジするなど、この遊びでも、これまでに見てきたワーキングメモリの働きを総動員していることがわかりますね。

 

フラッグ(旗あげゲーム)ゲームなども典型的な「抑制」を働かせる遊びですね。

もし皆さんの中にもアイディアがあれば、ぜひコメントでお寄せください🚩

 

日常生活の中でできる、「少し止まる」練習

遊びだけでなく、日常の中にも抑制を使う場面はたくさんありそうですね。

 

例えば、

食事や遊び、会話の順番を待つ

片づけなど、一度手を止めて、行動を選んでから次に進む

「今は待つ」「あとでやる」といったことを言葉で確認する

などのことも、抑制の働きを刺激します。

 

そして大切なのは、できなかった時に叱ることよりも、できた瞬間を見逃さないで、そのことを言葉で伝えることです

「今、止まれたね」

「順番、待てたね」

「遊びたい気持ちを抑えて、その前に片付けができたね」

「行動する前に、言葉で言えたね」

 

など、具体的によかった行動そのものを言葉にして伝えることで、「これができた」という肯定的な感覚をつかみやすくもなります。

 

「心の力」は目に見えなくてわかりづらいです。

そうした力が目に見えて急速に伸びるということもありません。

ですが、遊びや生活の中で何度も使っていく中で少しずつ慣れていくことで、抑制が働きやすくなり、作業に集中したり、少し待つことで、適切な判断をし、より良いコミュニケーションができるようになっていくこともあります。

 

私が以前関わったお子さんの中には、それまでの環境で「反射的に叱られた」経験が多いかったことで、その防衛反応として、お子さん自身も反射的・衝動的な行動が癖になっているのではないかと見受けられるお子さんもいました。

 

しかし、これまでに見たような、日常の何気ない場面での積み重ねを続けるうちに、

 遊びに行く前に宿題に取り組む

 行動する前に、どうしようか「相談」したり、なぜそうしたいのか「説明」する

 自分の分だけではなく、みんなの分を考えてお菓子を選ぶ

 みんなで会話していて自分が話したい時に「話してもいい?」と聞ける

など、日々の中の変化がぐんぐん見えるようになりました。

それは、その子が「できない」とは限らないと思わされる経験でした。

どんな子も、それまでの環境や経験の中で、自分の振る舞いを学びます。

 

高い集中力や忍耐を要する作業や学習などの場面だけでなく、普段からの関わりや遊びの中で、子どもは育ち、学んでいくのかもしれませんね。

 

見守る側も、もしうまくいかない時、それを「できない」というよりも、成長途中なのだと捉えることで、少し気持ちに余裕ができるかもしれません🌱

 

大人も、子どもも、落ち着いて「一呼吸」ですね。

 

雪も降り本格的に寒くなってきましたね。みなさまあたたかくしてお過ごしください。

 

それでは次回、「実行機能」が育つ遊びを考えるシリーズの最後の2つ、「更新・切り替え」についての内容をお届けしていきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました❄️


今回の記事の参照・参考元▼

認知心理学における中央実行系概念の変遷

子どものワーキングメモリーを鍛える方法8選!遊びながら記憶力を鍛えよう – 天神メディア

実行機能を伸ばすトレーニング例5つと効果性を高めるポイント

実行機能を鍛えればうまくいく⁈実行機能ってなんだろう?


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どちらも、おなじくらい大事だと思うから。

 

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【スタッフのつぶやきvol. 50】「状況」と「認識」に合わせて行動を選ぶ ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?⑤ー



 

この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関しての

「なぜ?」「どうして?」について、

人間の心の理解」という観点から、「機能」や「仕組み」の基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることが、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。

 


 

こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です🌿

先週に引き続き、今週も寒い陽気が続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょう。

 

前回までの記事で、「実行機能」という脳の働きの中の一つである「ワーキングメモリ」の機能の中から、

 

「聞いたことを覚えておいて、また取り出す」言語性の機能である「音韻ループ」と、

「見たものを覚えておいて、参照しながら作業する」視空間性の機能である「視空間スケッチパッド」

それらの視覚や言語の情報として「今起きていること」と、「過去の経験や知識の記憶」を、長期的に保存されている記憶から呼び起こし結びつけることで、何かを表現したり、行動したり、説明したりすることができる「エピソードバッファ」の機能について考え、

それらを積極的に使い活性化させる遊びや作業について見てきました🃏

 

 

「脳の仕組み」や「機能」というと、少し難しそうな気がしますが、それらを活性化させる遊びや作業はどれも身近で、何気なくできそうな取り組みもたくさんありましたね。

 

 机に向かう前の「土台の力」が育つヒントは、生活や遊びの中に意外とたくさん散りばめられていそうです。

 

前回までの記事▶︎

【スタッフのつぶやきvol.49 】「記憶」や「知識」を組み合わせて使う ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?④ー - Michibikiゼミ




 

中央実行系が活性化される遊び・作業 ー情報をどのように使うかを調整し、まとめるー

 ここまで見てきた「音韻ループ」や「視空間スケッチパッド」、「エピソードバッファ」などは、「聞く」「見る」「思い出す」といったことを通して、

「今ある情報」と「自分の中にある情報」とを取り出し、扱うための機能でしたね。

 

今回見ていく「中央実行系」では、これらの複数の働きをまとめ、場面に応じて調整・選択する指示役のような役割をしています。

 

特に重要な働きとして、「選択的な注意」と「抑制の機能」が挙げられます。

「抑制」は、実行機能のより全体的な要素としても、以前の記事で見てきましたね。

中央実行系」というところの働きが、この抑制に大きく関わります。

 

 この働きによって、たくさんの情報の中から「今、必要なもの」に注意を向け、それ以外の関係ない情報(雑音や目に入るもの)や、「こうしたい」「気になる」という衝動を意識的に抑えて(抑制)選択したものを優先することができます。

 

 例えば、教室で先生の話を聞く場面だったとします「外から聞こえる音」や「隣の子のお動き」、「机の上の落書き」など、気になる情報はたくさんあります。

 しかし、それらのことに注意を集めず「先生の声」だけに集中し続けるには、中央実行系による「情報の選別」が必要です。

 

 そうした「選択的な注意」や「反応の抑制」も、実は遊びの中でもよく使っています。

「余計なものに気を取られず、『ルール』や『目的』に集中する」遊びは、「学習」や日々の「生活」の「土台となる力」にも繋がっていきます。

 

さっそくですが、例えば、

ルールのある遊び(鬼ごっこドッジボール・ハンカチおとしなど)の全般では、「ルール(記憶情報)」+「視覚」あるいは「聴覚」などの情報を使いながら、状況に応じて柔軟に動きを変えることで、まさに、情報を統合し判断の調整をする中央実行系を駆使しています。

ボードゲーム も、誰かと一緒に取り組むボードゲームでは、順番、ルール、相手の動きを同時に考えながら、自分の次の一手を選ぶということで同様です。

後出しじゃんけも、相手の手の情報を元に、ルールに則り対応した手を自分も出すことで、単純ですが、反射的な行動を抑制する練習になります。

カードゲーム(七並べ・UNOなど)でも、カードを減らすという目的に応じて、手持ちの情報を整理し、場の流れを見た上で、次の手を選ぶという、戦略的な要素の中で、「情報」→「行動の選択」という頭の働きをしていますね。

 

これらの、ルールに基づき打つ手を工夫するといった少し複雑な遊びでは、まさに頭の中で、中央実行系を使った作業を行っています。

どれも少し大きくなってから楽しめる遊びかもしれないですが、後出しじゃんけん」などは小さなお子さんでも取り入れやすいかもしれませんね。

 

 また、「二つのことを同時にする遊びや作業(デュアルタスク)」でも、中央実行系が使われていると言います。

そうした同時進行の作業は、習い事のなかに多くあります。

ピアノ(その他の楽器)そろばんが、まさにそうです。考えて手を動かしながら計算をしたり、左右の手でコードとメロディーを同時進行するといった作業ですね。

よりシンプルな作業では、

歌いながら手拍子をする

散歩をしながらしりとりをする

指を折動かしながら数を数える

歩きながら数を数える

左右の手でそれぞれ異なる順序で「グー」「チョキ」「パー」を出す

といったことも、実はデュアルタスクですね。

 

「運動の課題」と「認知の課題」を組み合わせることで、

「同時進行の課題」や「マルチタスク」を行うために必要な「中央実行系」が刺激・活性化されると考えられています。

 

もしかして、「これもデュアルタスク(二重課題)かも?」というアイディアがあれば、皆さんもぜひ▶︎http://【Michibikiゼミ】ブログ感想フォームからお寄せください📮

 

 ここでも大切なのは、上手にできることより、「考えながら作業する経験」に慣れたり、楽しみながらそれらを積み重ねることです。

 

 反対に、同時進行の課題が負担になっていることに気がついた時は、目の前の課題をよりシンプルにしてあげるという工夫もできますね。

 

ワーキングメモリが育つと、できること

ここまで、

「ワーキングメモリ」

「音韻ループ」

「視空間性スケッチパッド」

「エピソードバッファ」

「中央実行系」

 

と5回に分けて、人が何かを判断し、行動するために必要な「実行機能」の「ワーキングメモリ」が担う要素と、それらを使い活性化させる遊びや作業について考えてきました。

 

 

 どれも、学習にもコミュニケーションにも生活にも、とても大切な機能でしたね。

しかしそれらが、身近な遊びや作業の中でも大いに使われていることも同時にわかってきました。

 

ここまで見てきた内容をまとめると、

「頭の中の情報」について、

「情報の操作」を行い、

「注意の方向」を選ぶことで、

「その状況にあった「行動」ができる」

というように働いているのが「実行機能」であり、それを支える作業台が「ワーキングメモリ」の機能だと言えそうです。

 

「ワーキングメモリ」について、ここまではなるべく細かく、シンプルな要素に分けてみてきましたが、それらの機能によって私たちの中では、

 

注意を向ける・維持するといった注意のコントロール

取り組みの「開始」と「終わり」の切り替え

調節・修正・モニタリングといった行動の最適化(調整)

覚える・保持する・取り出すといった記憶の操作

予測・比較・評価といった見立てや分析

 

といった、様々な複雑な行為ができるようになっています。

 しかしもちろん、それらの高度な心(脳)の働きは、一度にできるようになるのでも、ある年齢になればできるというのでもありません。

 筋肉や運動、あるいは楽器演奏の技術などと同じように、働きや機能の全体で、「部分ごとの小さな積み重ね」をしていくことが、まとまった大きな力につながっていきます。

 

 例えば走り出すためにも、足の強さだけではなく呼吸する肺や血液を循環させる心臓の強さ、他にも様々な機能の発達が必要です。楽器を演奏するには、小さなフレーズや技術を少しずつ習得していくことが最も効率的です。

 

 「覚える」「思い出す」「書く」「計算する」「説明する」といった、「学習」に関する様々な作業も、それを支える、「小さな部分」が少しずつ育ち、心(脳の働き)に根を張った土台の力に支えられて成り立ちます。





 ここまで、実行機能の中の「ワーキングメモリ」について要素に分けて、どんな時にそれぞれの機能が活性化しているか、遊びや作業から考えてきました。

 

 ここまで見てきたような遊びや作業は、もちろん大人にとっても大切な頭の運動になります。

年齢や発達の成長の段階と、その時その子にあった方法で、またご家庭やご家族の中での良い方法で、「ワーキングメモリ」育むことをぜひ意識的にトライしてみてはいかがでしょうか🌱



そして、頭の中の作業台「ワーキングメモリ」を活性化させ育むには、がんばらせすぎないことも大切です。

 

以前の記事(実行機能がうまく働かなくなる理由)でも見たように、「頑張りすぎ」や「ストレス」「疲れが溜まる」ことによって、脳のパフォーマンスは下がりやすくなります。

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 頭の中の机が、「もっとやらなきゃ」「頑張らなきゃ」「できなかったらどうしよう」と、不安や心配でいっぱいになってしまっては、必要なことが机の上に乗らなくなってしまいます。

 

 短い時間で、楽しい形で、「できた」という経験を積み重ねていくことで、ワーキングメモリを積極的に使い育んでみましょう🌱☀️

 

 

 それでは、この続きはまた次回の記事で、実行機能の働きの一つである「反応に対する抑制(我慢)」を育む方法について見ていきましょう📝

 

ここまでお読みいただきありがとうございます!


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【スタッフのつぶやきvol.49 】「記憶」や「知識」を組み合わせて使う ー〈シリーズ〉頭の中の監督役 ’’実行機能’’ はどう育つ?④ー



 

この記事では、お子さんの「行動」や「反応」、「学習」などの様子に関する

「なぜ?」「どうして?」について、
人間の心の理解」という観点から、機能や仕組みの基本的な知識に基づいた情報を発信していきます。

目に見えない「心」について知ることは、

この子の中で、何が起こっているのか

この子の世界には何が見えているのか

について考える土台を持つことにもつながります。

そしてその土台が、たった一人の「その子」と関わりを築いていく、ふとしたヒントになるかもしれません。

 

 

こんにちは!Michibikiゼミの渡辺です。

 

前回の投稿から1週間空いてしまいましたが、皆さま、いかがお過ごしでしょう。

1月も最終週となりました。テストや受験のシーズンでもありますね。

肩の力を抜いて、休める時は休んで、ほどほどに進んでいきましょう☕️ 

 

さて前回までの記事では、「実行機能」という脳の働きの中の一つである

ワーキングメモリ」の機能の中から、

「聞いたことを覚えておいて、また取り出す」、言語性の機能である「音韻ループ」という機能と、

「見たものを覚えておいて、参照しながら作業する」、視空間性の機能である「視空間スケッチパッド」という機能を活性化させる遊びや作業について考え、例えばどういったものがあるのか順番に見てきました。

 

前回までの記事▶︎

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